かさなるてのひら。
リリリリリ……
やかましい音が響いた。
おもむろに手を伸ばし、手探りで音の根元をぶっ叩いた。
ガシャン、という音と共に目的の音も消える。
深い溜め息をこぼしながら体の向きを変え、
また眠りにつこうとした時だった。
ぼずん!
「ごふっ…!!」
一瞬の出来事だった。
何か固い物がみぞおちにめり込んで俺の眠気をぶっ飛ばしたのだ。
「貴也、起きなよ!もう、7時だよ!」
杏奈か、と頭の片隅で思いつつ、布団の中で腹を抱え、
悶える俺。激痛。
「弱いぞ相変わらず。なんでそんなんで痛がるかなぁ」
「っせ!みぞおちにめり込んだんだぞ!!ココ急所だから!つか何をお前…」
文句を言おうと体を起こし、目の前にあったのは、
俺がつい先ほどぶっ叩いた目覚まし時計だった。
よく見れば、青い秒針が無くなっている。
あーさっきの音、壊れる音だったのか。
と、俺の考えを読んだかのように、杏奈が一言。
「仕返しですょ〜貴也くーん♪」
顔はかなりニヤニヤしていた。
「てめぇは時計じゃ無ぇだろ…」
「いいからさっさと起きろ、バカ兄貴!」
寝起きにしては、かなりこの一発の痛さが鮮明で、
二度寝できそうになかった。
平手打ちって、ここまで痛かったか?
*1_Fin
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