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かさなるてのひら。

[110]  風上 奏翠  2008-03-07投稿

リリリリリ……


やかましい音が響いた。
おもむろに手を伸ばし、手探りで音の根元をぶっ叩いた。

ガシャン、という音と共に目的の音も消える。
深い溜め息をこぼしながら体の向きを変え、
また眠りにつこうとした時だった。


ぼずん!
「ごふっ…!!」


一瞬の出来事だった。
何か固い物がみぞおちにめり込んで俺の眠気をぶっ飛ばしたのだ。

「貴也、起きなよ!もう、7時だよ!」

杏奈か、と頭の片隅で思いつつ、布団の中で腹を抱え、
悶える俺。激痛。

「弱いぞ相変わらず。なんでそんなんで痛がるかなぁ」

「っせ!みぞおちにめり込んだんだぞ!!ココ急所だから!つか何をお前…」

文句を言おうと体を起こし、目の前にあったのは、
俺がつい先ほどぶっ叩いた目覚まし時計だった。

よく見れば、青い秒針が無くなっている。
あーさっきの音、壊れる音だったのか。

と、俺の考えを読んだかのように、杏奈が一言。

「仕返しですょ〜貴也くーん♪」

顔はかなりニヤニヤしていた。

「てめぇは時計じゃ無ぇだろ…」

「いいからさっさと起きろ、バカ兄貴!」

寝起きにしては、かなりこの一発の痛さが鮮明で、
二度寝できそうになかった。


平手打ちって、ここまで痛かったか?



*1_Fin

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