ぼくを魅せて
「あなたの中の僕を見せて」ボクは彼女によくこう言われる。
ボクは幼い頃からよく女の子みたいと言われてきた。顔や格好を見ただけで言われた。
それは今になっても変わらず、こうやって彼女にも言われる。
しかし、彼女に言わせると顔や格好の事ではなく、心持ちの事らしい。
ボクはそんなに気弱に見えるんだろうか・・・。
だが、転機は突然にやってきた。
それはボクと彼女が付き合い始めて一年の記念にデートをしていた時だった。
その日のデートは順調で、前から彼女が観たいと言っていた映画を一緒に観て、ショッピングをして、オシャレな所でディナーを食べた。
内心、「これはかなり上手くいったんじゃないか」と自己満足しつつも、最後の砦『夜景を見つつ、キスをする』が残っている。
実は、一年も付き合っているのに今まで彼女とキスをしていない。
今日こそ記念日を利用してでも、彼女とキスをする。
そこでボクは彼女にさりげなく、「夜景スポット知ってるんだけど見に行かない?」と誘ってみた。
彼女はあっさりと「いいよ」とだけ言った。
事前に調べた夜景スポットに着き、ボクたちはとりあえずベンチに座った。
彼女の夜景にうっとりしている横顔を見つつ、さりげなくキスをしようとしたその時、「冬なのにアツイねぇ」というどこか茶化すような声が聞こえた。
振り向くとすぐ後ろに三人組の男たちがいた。
「こんな所でイチャついてんじゃねぇぞ」と突然殴られた。
彼女の叫び声が聞こえた。
痛い。殴られた右頬がすごく熱い。それに口の中に血の味が広がっている。
「今まで順調だったのに、何で最後にこんな・・・。」と思っていると、また彼女の叫ぶ声が聞こえた。
「へぇ、なかなかいい女じゃん。ちょっと借りるぜ。」と男たちが彼女に絡んでいる。
そして、それに堪えている彼女の泣きそうな顔を見た途端、ボクの中で何かが出た。
それはボクではない僕だった。
これを男の本能というのか、今まで感じた事のない怒りが身体中を駆け巡り、全筋肉を活性させる。
その活性に耐え切れなくなり、僕は絡んでいる男たちをところ構わず殴った。
途中、他の男たちに何度も殴られたみたいだが、筋肉が活性し過ぎて何にも感じない。
男たちは僕のその姿にビビり、逃げて行った。
(2話完結・続編へ)
ボクは幼い頃からよく女の子みたいと言われてきた。顔や格好を見ただけで言われた。
それは今になっても変わらず、こうやって彼女にも言われる。
しかし、彼女に言わせると顔や格好の事ではなく、心持ちの事らしい。
ボクはそんなに気弱に見えるんだろうか・・・。
だが、転機は突然にやってきた。
それはボクと彼女が付き合い始めて一年の記念にデートをしていた時だった。
その日のデートは順調で、前から彼女が観たいと言っていた映画を一緒に観て、ショッピングをして、オシャレな所でディナーを食べた。
内心、「これはかなり上手くいったんじゃないか」と自己満足しつつも、最後の砦『夜景を見つつ、キスをする』が残っている。
実は、一年も付き合っているのに今まで彼女とキスをしていない。
今日こそ記念日を利用してでも、彼女とキスをする。
そこでボクは彼女にさりげなく、「夜景スポット知ってるんだけど見に行かない?」と誘ってみた。
彼女はあっさりと「いいよ」とだけ言った。
事前に調べた夜景スポットに着き、ボクたちはとりあえずベンチに座った。
彼女の夜景にうっとりしている横顔を見つつ、さりげなくキスをしようとしたその時、「冬なのにアツイねぇ」というどこか茶化すような声が聞こえた。
振り向くとすぐ後ろに三人組の男たちがいた。
「こんな所でイチャついてんじゃねぇぞ」と突然殴られた。
彼女の叫び声が聞こえた。
痛い。殴られた右頬がすごく熱い。それに口の中に血の味が広がっている。
「今まで順調だったのに、何で最後にこんな・・・。」と思っていると、また彼女の叫ぶ声が聞こえた。
「へぇ、なかなかいい女じゃん。ちょっと借りるぜ。」と男たちが彼女に絡んでいる。
そして、それに堪えている彼女の泣きそうな顔を見た途端、ボクの中で何かが出た。
それはボクではない僕だった。
これを男の本能というのか、今まで感じた事のない怒りが身体中を駆け巡り、全筋肉を活性させる。
その活性に耐え切れなくなり、僕は絡んでいる男たちをところ構わず殴った。
途中、他の男たちに何度も殴られたみたいだが、筋肉が活性し過ぎて何にも感じない。
男たちは僕のその姿にビビり、逃げて行った。
(2話完結・続編へ)
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