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古い写真2

[463]  瓠月  2008-03-09投稿
『…』

恐怖に震え出した手を抑えながら、その写真を机に裏返しに置いた。

気持ち悪い感じがしたので気を紛らわそうと、音楽をかけた。

コンポから出される素晴らしい音色を耳でとらえながら、掃除の続きを始めた。

しかし、数分後。





…ザ…ザザー

『あれ…』

窓を拭いていた手を止めて、急にノイズが鳴ったコンポを調べる周一。

『新品のCDなんだけどなぁ…』

とりあえずほっといたら直るだろと楽観的に考え、窓を拭こうと思ったその時。

背後に何かの気配を感じた。


『……』


急に部屋が寒気に包まれた気がした。
強烈な視線のようなものを背後から感じた。

恐怖に固まっている周一は、勇気を出して振り向くことにした。


バッ!と素早く振り向くが、そこには何もいなかった。

『…気のせいかな?』



ふと、目を机に向けると、さっき裏返したはずの写真が表向きになっていた。
あの、顔の無い女の子の姿が、周一の目にあらためて入った。


『…』


言葉では表せない、とても気持ち悪い感じがまた襲って来た。
相変わらずコンポはノイズを発している。

部屋から出ようという考えは浮かばず、まるで操られているように窓を拭き始めた。


『あれ、曇ってる』


あんなに喜んでいた太陽も、これでは不機嫌になってしまう。
穏やかな気持ちに戻りかけたこのタイミングで、また寒気が襲って来た。

さっきより強力な、体を縛り付けるような感覚。
背中と額を伝う汗が、服をジワジワと湿らせていく。


『(…何か、いる…)』

窓の方をを向いている周一は、運が悪い事に窓に自分が写っているのに気付いてしまった。

動かない体の肩に、白い何かが乗ったのを、窓に写った自分を見て確認した。
ゆっくり肩に姿を現すそれは


『(……指だ…!)』


小さな指だった。
姿を現しきったそれは、同時に、次に何が現われるかを周一に悟らせた。

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