質 問(one
教室の窓際の席
きみは椅子を
音を立ててひきずる
机に両腕を置き椅子に座り
左手で両目をこすった後
右手に持っていた本を開き読み始めた
窓からの光が
猫背のきみを包み込み
ぼくは机越しに
きみの前に立って質問する
「なにを読んでるの?」
きみは本を読んだまま
その本を持ち上げ
表紙を僕の顔へと向ける
緑色の表紙には
“百日紅の人生”の文字
「“100にち
アカの人生”?」
「、、、ばーか」
腕を下ろし
本読みを再開する
僕は質問する
「あのさ、、、
1年って何秒?」
「、、、は?」
光の差す教室で
僕ときみは計算する
進路相談のプリントの裏にボールペンのインクが染み込む
1分 =60秒
1時間=60分
60秒×60分
1時間=3600秒
3600秒×
、、、
「、、もう
1人で解けるでしょ?
それとも
私が思っている以上に
あんたは ばかなの?
私 本読みたい」
「わかったよ
じゃあ読んでていいよ
100日アカの人生」
「、、、、」
、、、
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