世路〜ゼロ〜2
【エルドラド】……人々の絶望犇めく中で、この世の最後の楽園を思わず想像せざるを得ない響きだった。
男は、おそらく街の中央部にあたるであろう、石畳の広場の噴水に頭を突っ込んだ。
周囲にいた者は、彼の突然の行動に驚き、侮蔑と憐れみの眼差しで男をまじまじと見ていた。男のような乞食はこの街にも大勢いたが、たいていは人気のない裏通などに身を潜めているもので、彼みたいに人が集まる公共の広場で、しかも何の躊躇もなく、この美しい街の象徴に、魔の森のような頭髪を突っ込むなど、常識あるこの街の住人には考えられないことだったのだ。
しかし、それでも男は全く気にしない様子だ。
ザバッと水から頭を上げると、周りから軽い悲鳴が聞こえてきた。ひそひそと話す声も。
濡れた髪を、犬のように水を切る。軽く溜息をはくと、男は生きていることを実感した。
無数のランプがこの街の夜を妖しく照らす。揺らめく影、そびえ立つレンガ造りの建物、どこからともなく聞こえてくるバイオリンの音、そして、男を囲む人垣と、その中央の男。
【エルドラド】の招かざる客……
男は、おそらく街の中央部にあたるであろう、石畳の広場の噴水に頭を突っ込んだ。
周囲にいた者は、彼の突然の行動に驚き、侮蔑と憐れみの眼差しで男をまじまじと見ていた。男のような乞食はこの街にも大勢いたが、たいていは人気のない裏通などに身を潜めているもので、彼みたいに人が集まる公共の広場で、しかも何の躊躇もなく、この美しい街の象徴に、魔の森のような頭髪を突っ込むなど、常識あるこの街の住人には考えられないことだったのだ。
しかし、それでも男は全く気にしない様子だ。
ザバッと水から頭を上げると、周りから軽い悲鳴が聞こえてきた。ひそひそと話す声も。
濡れた髪を、犬のように水を切る。軽く溜息をはくと、男は生きていることを実感した。
無数のランプがこの街の夜を妖しく照らす。揺らめく影、そびえ立つレンガ造りの建物、どこからともなく聞こえてくるバイオリンの音、そして、男を囲む人垣と、その中央の男。
【エルドラド】の招かざる客……
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