携帯小説!(PC版)

誓い

[516]  マリリン  2008-03-11投稿
彼と彼女は、いわゆる、世間に認められる関係ではなかった。周囲の人間は誰一人、彼らの結婚について、賛成するものはなかった。

ありがちな話だが、それ故に、また、彼らの思いは、なお一層、燃え上がっていった。彼らの愛情は、純粋そのもので、微塵の後ろ暗いところもなく、ただそれを、周囲に理解されないところを、苦しんだ。

彼らは、社会に対して、彼らのでき得る限りの抵抗をしたが、やがてそれも力つき、とうとう10年の間、別れて暮らすことを、決心した。

涙が枯れるほど泣き崩れる彼女を、彼は、しっかりと抱き締め、10年後の再会を固く誓った。「10年後、もし君の姿が、変わり果てていても、君のこの胸の黒子を、見れば、大丈夫。君だとわかる。10年後の君の誕生日に、必ず迎えに行くから..」そう言いながら、彼女の髪を、いかにも愛しそうに、撫でるのだった。

「私は、あなたを、決して忘れない..どんなことがあっても、絶対に忘れないわぁ..」彼女は、喉の奥から、悲痛な声を振り絞るように、そう誓った。そうして、時は、過ぎた。1ヶ月、1年、2年、3年...とうとう、10年の歳月が流れ、誓いの誕生日、彼と彼女は、とある街角ですれ違った。その瞬間、お互い、ある種の違和感を覚え、「おや?」 「あら?」と、立ち止まった。しかし、なんの違和感なのか、彼ら自身にも理解できず、不思議そうな表情を浮かべただけで、またすぐに、それぞれの目的地に迎うために、歩を進め始めた。彼らの空間は右と左に徐々に開いてゆき、まるで永遠に交わることを、知らないかのように、その影は、やがて点となって消えていった。


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