夢負人??
事の経緯を調べる為、夢路と悠斗は加川真佐美の自宅、犯行現場に来ていた。
細かく捜さずとも場所はすぐに分かった。線路沿いの道から一本先にある道に警察はもちろん、報道陣や野次馬がごった返していた。
「加川真佐美被告は普段どんな人物でしたか?」
マイクを突きつけられた近所の奥さんは迷惑そうにカメラから顔を隠したが、その割には質問に軽快に答えている。
「ここだけの話し、そのうち何かやるんじゃないかと思ってたのよ」
「何かというのは今回起きたような、子供に対する犯罪ですか?」
「そうねぇ。育児ノイローゼだったんじゃないかしら。よく家から怒鳴り声が聞こえてたし」
離れてその様子を伺っていた夢路は唾を吐いた。
「なーにがやると思っただ。言われてみれば程度の憶測で犯罪性問われる方はたまったもんじゃねーよ!」
「ちょっと、聞こえますよ」
悠斗が会った加川真佐美は温和しい人で、子供を虐待するどころか子供の事を第一に考える、そういう印象を受ける人物だった。
夫と早くに死に別れ、女手一つで真理を育ててきた真佐美。
事務所を訪れた時も、一児の母親とはいえみすぼらしい格好をしていた。それも学費や生活費の為に出来る限り節約していたという。
疲れを感じても娘の笑顔でまた明日を生きられる、そう彼女は強い瞳で言っていた。
なのに何故こんな悲しい結末を迎えてしまったのか。
悠斗は夢路の横顔を見ながら真佐美が依頼をしに来た時を思い出していた。
感想
感想はありません。