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私が、死んだ日。4

[253]  1003  2008-03-15投稿
日を重ねる毎に、時間が流れる毎に、この想いが膨らんでいくのがわかる。

気が付けば、私の視線は拓海の姿を追いかけている。
制服のスカートのポケットの中の定期入れには、名前の無いあの日の紙切れをお守りのように大切に持ち歩いている。

今思えば、この想いは紛れもなく恋だった。だけど、幼かった私には、本気で誰かを好きになる事が少しだけ怖くて不安だったから。
ただ、拓海の姿を見つけるだけで嬉しくなる。そんな淡くて単純な感情だけで満足だった。

だけど。
恋をしている。
そう素直に思えるようになった。

きっかけは、いつでも突然訪れるもの。


拓海を追いかける私の視線は、拓海が追いかける視線に簡単に気付いた。

その拓海の視線の先には、いつも霞の姿があった。

私が拓海を見つめるような眼差しで、拓海は霞を見つめていた。

愛しそうに。そして、切なそうに。

そんな拓海の姿に気付く度に、私の胸はいつも締め付けられたように苦しくなる。


そんな目をしないで。


ただそれだけ。
そう思いながら、もっともっと拓海に近付きたかったんだ。



「石川さん。」咄嗟に私は拓海の名前を呼んでいた。

不意をつかれて驚きながら拓海が振り向く。
それからすぐにまたいつもの表情に戻っていく。

黙ったままの二人。

私はスカートのポケットの中で手を握りしめた。

「あ…あの、…これ。」私は、定期入れも一緒に手をポケットから引き抜く。
私の鼓動がはやくなってくのが自分でもわかる。



拓海は、定期入れの中の紙切れと私を交互に見てから「…うん。」とだけ言ってうつむいてしまった。

「石川さんですか?…これ。」
私の言葉が聞こえたかどうかの答えは、うつむいたままの拓海は教えてくれない。


「…違ってたなら…すいません…。」
沈黙が続く。
一瞬にして私に後悔の気持ちが押し寄せてくる。



その時。



「………バレてたんだ?」



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