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夢の想い(6)

[469]  けん  2008-03-18投稿
眩しさが収まり目を開けると前には草だらけの広場が広がっていた。
「なんだったんだ…いったい…。」
洋介は回りを見てみるがそこには先程まであった神社のカケラも見当たらなかった…。
「洋兄は今の何だったかわかる?」
その横で放心していた此葉は洋介を見ながら聞いてきた。どうやらさっきまでの涙は留まったようだ…。
「俺もわかんねぇよ…」
辺りはもうすぐ朱に染まろうかというくらいの時間だった…。



夕食ゆ食べ終えて自室にもどると、父から貰った箱を眺めながらベットに転がる。
「いったいなんだっていうのさ…お父さん…」
コン、コン、コンッ
ノック音が此葉を思考の世界から引き戻させた。
「洋介だけど…、今いいか?」
「ん…いいよ」
返事をしながらベットから上体を起こす。
ガチャ…、バタン
「すまないな、寝るとこだったろ。」
そういって部屋に入った洋介は手頃な椅子に腰をかける。
「ううん、まだ寝ないよ。ちょっと考え事をね」
そういって此葉は先程まど持っていた箱を洋介に渡す。
「これ…か?……確かに開かねえな」
蓋のような物も無ければ引き出しのような物もないただの箱だった。
試しに振ってみたが音も出ない。
「なんだろな…」
そういうと箱を此葉に投げてよこした。
「ちょっ!」
慌てて箱を受け取る。
「もう…いきなり投げないでよ。」
洋介は椅子から立ち上がると部屋のドアの前で立ち止まった。
「全ては寝てからってことだな」
「そうだね…」
此葉も相槌をうつ。
ガチャ…
「あっ…洋兄…」
此葉は慌てて呼び止める。
「なんかごたごたしてて言いそびれてたけど…久しぶり。」
「ん、そう…だな。覚えてなかったけどな」
「私はちゃんと覚えてたよ。洋兄…か…かっこ…かっこよくなっ…たね」
顔を真っ赤にして此葉は思い付いた精一杯の言葉を洋介に告げた。
「なにいってんだか…」
そういって軽く笑いながら洋介は部屋を出て…
「んじゃ…おやすみ。此葉おばさん」
「オバサンっていうな!私の方が年下!」
ばんっ!
「はははははっ」
「うぅ〜、も〜っ!洋兄のバカ!おやすみっ!」
笑いながら洋介が去った入口には投げられてドアに当たって落ちた枕が転がっていた。

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