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電波ベイビー

[888]  ゆうこ  2008-03-21投稿
最近ってさ…なんでもメールで伝えられる。

ちょっとしたアリガトウとかゴメンネとか。

絵文字入ってないと安心できない、なんて子もざらでしょ?

それってなんだっけ。
えーと…あ、そう。

イゾン、だっけ。

おかしなもんじゃない?掲示板なんて古風な名前なのに、昨日知らなかった人ともう「お友達」

ふふっ。

変な時代。
電波で始まって、電波で終わる。

でね、本題。
あたし、産んじゃったの…子供。

ケータイって電波のなかで、生まれたの。

新着メール開いたら、

おぎゃあ

って書いてあってさ。
最初、笑えるって…。
でも次の日にはボイスもついてた。

成長早いの。
電波ベイビー。

マァマ

って入ったのは一週間後だったかな。
ちょっと…不気味(笑)
でさ、一ヶ月後にね

お母さん、だぁい好き

ってね。
アドレス変えたのに、入ってくるの。
可愛い声。
女の子かもしれない。


二ヶ月後、今度は写メ。
大きな目をした女の子。やっぱりね、当たった。


問題は、その子…顔が歪んでて、目が血みたいに真っ赤。

怖いじゃん。
だからあたしさ、携帯棄てたの。

粉々にして、踏んで、踏んで、埋めた。

それなのに。

やっぱりあれかな。
電波ベイビーだからかな…テレビにね。

あの子…。

体中、血だらけで…立ってられなくて這いずってて…。


お母さん…どうしてまた私を殺すの…

って。



またって何よって。
あ、そういやあたし、堕ろしてんだよね。

まさかさ。
そんなもん信じないけどさ…。

でも次の日、あたし携帯買ったよ。

あの子、あたしの子なんだよね。



今?


今も成長してるよ。

あんたんとこにも、来てくれるといいね。

子供って可愛いよ。

本当、あの子いてよかったよ。


あたしの存在、あの子が認めてくれてんだもん。
電波ベイビー。



からっぽの世界の

本当の



「愛」









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