RED
「この街は、
沢山の矛盾とニセモノで出来てる。」
光の渦を眺めながらそう呟いた‘キィコ’は、その長くて黒ネコのようなつややかな髪を、屋上の風になびかせた。
車のライトだか、飲み屋街のネオンだかが、昼でもないのに空を青白く染めていた。
此処は東京。
もう春になるとゆうのに‘キィコ’と私を取り巻く空気はとても冷たかった。
フタリは丁度一年前、駅前の地下のクラブ『RED』で 出会った。
そのころ私はマキとゆう男に会う為毎日のようにREDにいりびたっていた。
マキはかなりのイケメンで、REDの経営を任されていた。
家出して上京した私を拾ってくれたのはマキだった。マキは私に仕事と寝る場所とぬくもりを与えてくれた。
わたしは仕事が終わるとすぐにREDへ行って、マキが終わるまでの時間、音の波間にしずんでいた。
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