漆黒の翼 45
ジェイソンも真っ青になりそうな勢いで魔獣達を殺しまくるオロマに対し、力也は戦場のど真ん中で大鎌を持ってただぽつんと立ち尽くしているだけだった。
そしてそんなおとなしい獲物を魔獣達は見逃す筈は無く、右から、左から、前からそして後ろから一斉に我先にと襲い掛かって来た。
逃げる隙間も時間も無いというのに、力也は動じる事無く、大鎌の柄を雪が積もる地面にサクリと突き刺す。
すると、魔獣達の輪の中に居た力也が消えて、真ん中に大鎌だけが残されていた。
勿論魔獣達は突然の獲物の消滅に反応できず、互いにぶつかり合い、もみくちゃになった。
「アホだな…」
そう呟いたのは涼しい顔をしていた力也。
現在彼は大鎌を持ってもみくちゃになっている魔獣の約十メートル上空に静止していた。
そしてもみくちゃになり、内輪もめを始めた魔獣の集団に手榴弾をポトリと落とした。
爆発音と共に、白いキャンパスの雪に赤い華が咲き乱れた。
*
血の池地獄と化した爆心地に大鎌を持って力也がポツンと立っていた。
魔の肉に飢えた獣達はおとなしい絶好のカモを見つけたと思い、周りに魔獣達の亡骸が転がっているのにも関わらず、力也目掛けて襲い掛かった。
全方位から、魔獣達が鈎爪を振り下ろし、突進し、噛み付く。
しかし彼らの攻撃は力也の体をまるで幽霊の様にすり抜けて先程同様大混乱に陥った。
魔獣達が絶好のカモだと思った力也にはあるものが欠如していた。
“実体”という、あって当たり前のモノが。
その様子を先程同様涼しい顔で見ていた力也は魔獣が集まる方向に左手をかざした。
そして思いっ切り左手を握り締めると、力也の幻覚は眩しい光を放った。
残ったモノは地面に開いた小さなクレーターと、幻覚に騙された者の末路だった。
“幻覚の魔術師”
(イリュージョン・ジョーカー)
幻覚、幻術系の魔法で相手を惑わし、気が付いた時には既に彼の掌の中で踊らされている…
彼の二つ名にはそんな意味が込められている。
そしてそんなおとなしい獲物を魔獣達は見逃す筈は無く、右から、左から、前からそして後ろから一斉に我先にと襲い掛かって来た。
逃げる隙間も時間も無いというのに、力也は動じる事無く、大鎌の柄を雪が積もる地面にサクリと突き刺す。
すると、魔獣達の輪の中に居た力也が消えて、真ん中に大鎌だけが残されていた。
勿論魔獣達は突然の獲物の消滅に反応できず、互いにぶつかり合い、もみくちゃになった。
「アホだな…」
そう呟いたのは涼しい顔をしていた力也。
現在彼は大鎌を持ってもみくちゃになっている魔獣の約十メートル上空に静止していた。
そしてもみくちゃになり、内輪もめを始めた魔獣の集団に手榴弾をポトリと落とした。
爆発音と共に、白いキャンパスの雪に赤い華が咲き乱れた。
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血の池地獄と化した爆心地に大鎌を持って力也がポツンと立っていた。
魔の肉に飢えた獣達はおとなしい絶好のカモを見つけたと思い、周りに魔獣達の亡骸が転がっているのにも関わらず、力也目掛けて襲い掛かった。
全方位から、魔獣達が鈎爪を振り下ろし、突進し、噛み付く。
しかし彼らの攻撃は力也の体をまるで幽霊の様にすり抜けて先程同様大混乱に陥った。
魔獣達が絶好のカモだと思った力也にはあるものが欠如していた。
“実体”という、あって当たり前のモノが。
その様子を先程同様涼しい顔で見ていた力也は魔獣が集まる方向に左手をかざした。
そして思いっ切り左手を握り締めると、力也の幻覚は眩しい光を放った。
残ったモノは地面に開いた小さなクレーターと、幻覚に騙された者の末路だった。
“幻覚の魔術師”
(イリュージョン・ジョーカー)
幻覚、幻術系の魔法で相手を惑わし、気が付いた時には既に彼の掌の中で踊らされている…
彼の二つ名にはそんな意味が込められている。
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