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ガンバレ、俺

[214]  ANNA  2008-03-23投稿
「おーい、一歩。やっぱりレジに入ってくれ。」
夕方になって部活帰りの高校生が増えたせいか、店内が混み始めた。
店長に予告された通り、俺は苦手なレジをやるハメになった。
どうもレジって緊張するんだよなぁ。ガンバレ、俺。苦手なことから逃げてばかりじゃダメだ。真っ向勝負して勝ちゃあいいんだから。(何にだ?ま、いっか)大丈夫、大丈夫。
よく分かってないけど、さっき店長に言われたことを自分に言い聞かせつつ、深呼吸しながらレジに向かった。
俺の中では今『ロッキー』のテーマがBGMにかかってる。
三台あるうちの二台には、姉さんと西野江里ちゃんがいた。江里ちゃんは高三で、短大に進学が決まっていて、今は毎日のようにバイトに明け暮れている。特別美人じゃないけど、礼儀正しくて明るくてハキハキしてて、あったま良さそうなんだよな。年下の江里ちゃんにいいとこ見せたい♪
てなことを思いながら、レジに入った。
「お待ちのお客様、こちらへどうぞ。」
噛まないで言えたぞ。出だしはOK。
言ったはいいが、五・六人一気になだれこんできた。
最初の客は、六十代ぐらいの女性が、孫らしき女の子を連れていた。
「お子様セットとホットコーヒーでございますね。しばらくお待ち下さい。」
この人は働いてないのかなぁ。いいなぁ職探ししなくて済むなんて...。
てなことを考えながらコーヒーを煎れ終わり、振り向き様にあろうことかコーヒーカップが俺の手からすっぱ抜けた!?突然のことで驚いたのか、女の子が泣き出した。うわっやっちゃった!
だから俺、レジ嫌だって言ったんだよ。嫌がる俺を無理にレジに回した店長が悪いんだ〜。もぉ泣きたいのはこっちだよぉ〜。
一瞬の間にいろんな気持ちが俺の中でよぎった。
そして、俺が呆然としているように見える一瞬の間を突いて、
「申し訳ございません、お客様。火傷などなさっておりませんでしょうか?お洋服は汚れておりませんか?すぐに替えのコーヒーをお持ち致しますのでお待ち下さいませ。一歩は替えを用意して。用意したらすぐにそこを片付けて。」
姉さんだった。
店長ではなく姉さんが飛んで来て、ボォっしてるように見える俺に、的確な指示を出した上に客の応対までしてくれていた。
俺は江里ちゃんの手前、恥ずかしいやら情けないやら、自分のミスを店長になすりつけて言い訳しかできない自分がみみっちくて、自己嫌悪に陥ってた。

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