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漆黒の翼 46

[193]  龍角  2008-03-23投稿
「咲島ジュリアの無力化に成功した。」


無線機から聞こえて来たのは低い男の声だった。


「ご苦労様。
解ってると思うけど時間は後三時間しか無いからね。」


そう答えたのは天使の異常なまでに整った顔立ちの青年。


しかし天使であるにも関わらず、目の色は紅く、色素が薄い筈の髪の色も黒だ。



「あぁ…それまでに仕事は片付ける。
任せとけ。」

男はそう言って電話を切った。


「どうしたの?」


そう天使に質問したのは悪魔の女。

長い艶のある黒髪が腰まで伸び、更に赤い瞳と白い肌が妖艶な美しさを醸し出していた。


「ガルバンドが執行部に接触したんだって。」



「ガルバンドってあのモヒカン頭の怖そうな人だったよね?」

「うん…確かにあれは怖いな…
それより…どうしようか…」


天使は目の前の光景を見てため息を吐いた。



二人がいるのは多くの巨大な柱状のクリスタルに覆われた空間。



そしてその一番奥にあり、二人の目の前にあるモノは他の水晶よりも更に大きいクリスタル。



「ねえネロ…この人本当に生きてるの?
魔力も拍動も感じないよぉ?」


「なんていうか…生きてるんだけど死んでる…みたいな感じかな…」

「何ソレ?意味わかんないよ。」


「まぁとりあえず仮死状態って感じかな。
それと自分の母親に向かってその人呼ばわりはないでしょ…」


「だって…私覚えて無いんだもん…
母上の事も…
ネロの事も…
覚えてるのは…アイツにっ…殺された時のっ…」



「もう止めろ…」


そう言ってネロは悪魔を抱き締めた。


「直ぐに思い出す必要は無い…
それにアイツはもうすぐ…
あと一年待てば奴は殺せる…
今は我慢だ。」


すすり泣く悪魔をネロは愛おしいそうに抱きしめ、そして慰めた。



まるで恋人同士の様に。



「ごめんね…あに…いや…ネロ…
心配かけちゃって…」



「俺がメルディーナを心配するのは当たり前だ…」




二人はそう言って目をつぶって顔を近づけた。


「一緒にアイツを殺そう。
そして再び…」




二人のやり取りを見ていたのは、クリスタルの中で眠る白い翼の悪魔だけだった。

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