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生きる者たちの物語1ー1

[561]  しじゅう  2008-03-24投稿


「・・・ママ、ママ。僕は最後に貴女の願いをかなえて死にたい」



扉の向こう、すすり泣くママの声に向かって僕は言った。

「遊ちゃん、遊ちゃん。ママは憎いのよ、あなたが生きることを許さないこの街と・・この世界が・・・!」

「・・・うん。・・・」




・・・でもね、ママ。


僕はこの世界を愛しているよ。


・・・貴女を育んだこの世界を。


だってこの世界がなかったら、僕は貴女と会えなかった。



貴女の望みはかなえる。


だけど許して。

僕のこの願いだけは・・・譲れない。





「かくして一度この世界は滅んだ、兵器『破壊者』によって」

「・・・『破壊者』・・」

記憶(メモリー)の中の『破壊者』とは違う。私の知る『破壊者』はもっと冷徹で無機質だ。

「『破壊者』はただの機械でなく、意思があったのですね?」

「ああ、それを知る者はもう私だけだがね。」

椅子にもたれかかったまま、サカグチは大きく息を吐いた。

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