生きる者たちの物語1‐3
サカグチ曰く・・・・・「世界は、20年前に一度滅んだ。」
・・・この周囲約10キロメートルの小さな島以外は。
この島はエリン共和国最南端にあり、兵器の爆源地である共和国首都から離れていたおかげで助かった…らしい。
その被害で共和国の3割は海に沈んだ。他国もその爆風で吹っ飛んで消えたという。
…らしい、とか、だろう、とかあいまいな表現は嫌いだが…なにぶん私の生まれる前の話。すべては、主・サカグチから聞いた話だ。
…彼は破滅事件については島民の誰よりも詳しいのだ。
…もともとこの島はもっと大きな島だった。
だが、低いところは海に呑み込まれ、今はコリーシャ村の村民100人だけしかいない。
・・・そう、この世界には100人の村民しかいない。
その村民たちも、常に海との恐怖と戦いながら生きているのだ。
・・・それが私たちの現実。
「サカグチ、世界はまだ滅びていません。私たちが生きているじゃありませんか」
「…そうだな…。だが」
そう答えたサカグチは、何か言おうとしてすぐ口を閉ざした。
いつか、完全に人は地上から消える。
そう言いたかったのではないだろうか。
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