携帯小説!(PC版)

ナイフ

[264]  Gon  2008-03-25投稿
白い肌に赤い傷をつけてやる。鋭利な痛みがスッと走る。一度つけてしまえば、どうってことない。むしろ恐怖はナイフをその手にかざす時のみ生ずるのだ。
真新しい肉体の損傷口から体液が外へ流れ出す。舐めてみると塩辛い。生命力に溢れた液体。己の命を食する感覚。生きている実感が沸く。
オナニーとはまた別種の衝動が神経を流れる。
お気に入りの刃渡り15cmのナイフはアウトドアのショップで購入した。もう僕にはなくてはならないパートナーとなった。
自分の体のあちこちにナイフを走らせてきた。はじめは服に隠れるところに。誰にもわからない秘密を持ったような感覚。制服の下にズキズキする痛みを飼い慣らしながら高校へ通った。
あまりに誰も気づかないので、頬につけてみた。親は気づかなかった。
夏、体育の授業は水泳になった。水着に着替えた途端、そのまま職員室に連れて行かれた。担任は親を呼び出したが、父も母も来なかった。そんなもんだ。
僕の体は無数の切り傷で覆われているけれど、誰につけられたのではない。自分でつけた。でも大丈夫。僕の心に傷はないから。
多分。

僕は生きていていいんだよね?

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