漆黒の翼 48
「もしもーし。
私よ。」
「ジュリアさん遅いですよ!?
何してるんですか?」
しんしんと雪が降り積もるホテルの屋上にジュリアと龍華の話し声が聞こえる。
「ごめんなさいね。
MK-97(ジュリアが使っていた銃)の調子が悪くて今チューニングしてるの。」
ジュリア、エルファ等が使用する『魔銃』系の武器は使用者のマナを個体状にする『凝固』、炎や電撃など魔力エネルギーを科学的エネルギーへと『変換』する装置が付いている。
魔法と科学という異なるモノ同士の最先端技術が駆使されたこれらは精密な構造上とてもデリケートなので突然壊れる事も珍しくは無く、魔銃の使用者は常にチューニング用の器具を携帯している。
「それよりも今対策本部から連絡が来て、駅周辺に魔獣がわんさか集まってるらしいから先に行っててくれない?」
「…解りました…
くれぐれも気を付けて下さいよ。」
「…ええ…あんた達もね…」
ぷつりと無線の通信が途絶えた。
「気を付けろか…」
先程まで龍華達と話していた人物の声はジュリアの声から低い男の声へと変わり、駅へと向かう三人の後ろ姿を見下ろしてそう言った。
「人の事より…自分の心配をしろよな…」
その者は歪んだ笑いを浮かべながらすぐ側にうつぶせに倒れる咲島ジュリアを見る。
彼女の胸にはくり抜かれた様な穴が空いており、そこを中心に雪が赤く染まっている。
その者はその穴の中に緑色に輝く石の様なモノを入れると、霞の様に消え去った。
獣の雄叫びが木霊したのはそれから数分後の事だった。
私よ。」
「ジュリアさん遅いですよ!?
何してるんですか?」
しんしんと雪が降り積もるホテルの屋上にジュリアと龍華の話し声が聞こえる。
「ごめんなさいね。
MK-97(ジュリアが使っていた銃)の調子が悪くて今チューニングしてるの。」
ジュリア、エルファ等が使用する『魔銃』系の武器は使用者のマナを個体状にする『凝固』、炎や電撃など魔力エネルギーを科学的エネルギーへと『変換』する装置が付いている。
魔法と科学という異なるモノ同士の最先端技術が駆使されたこれらは精密な構造上とてもデリケートなので突然壊れる事も珍しくは無く、魔銃の使用者は常にチューニング用の器具を携帯している。
「それよりも今対策本部から連絡が来て、駅周辺に魔獣がわんさか集まってるらしいから先に行っててくれない?」
「…解りました…
くれぐれも気を付けて下さいよ。」
「…ええ…あんた達もね…」
ぷつりと無線の通信が途絶えた。
「気を付けろか…」
先程まで龍華達と話していた人物の声はジュリアの声から低い男の声へと変わり、駅へと向かう三人の後ろ姿を見下ろしてそう言った。
「人の事より…自分の心配をしろよな…」
その者は歪んだ笑いを浮かべながらすぐ側にうつぶせに倒れる咲島ジュリアを見る。
彼女の胸にはくり抜かれた様な穴が空いており、そこを中心に雪が赤く染まっている。
その者はその穴の中に緑色に輝く石の様なモノを入れると、霞の様に消え去った。
獣の雄叫びが木霊したのはそれから数分後の事だった。
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