Toy
イチローを見つけたのは粗大ゴミ廃棄場だった。ゴミの山のてっぺんに、イチローはちょこんと座っていた。
はじめは子供が迷い込んだのかと驚き、急いで駆けよった。遠目に人間の子供にしか見えなかった。
イチローは壊れた人形よろしく、同じ科白を繰り返し繰り返し口にしていた。
「ご主人様、愛しています。愛しています・・・」
そこに誰もいないのに、「愛しています・・・」繰り返し繰り返し。
清掃員の僕が近づいても、まるで視界に入っていないみたいだった。
壊れたアンドロイド。大量消費の高価な玩具。
もちろん、安月給の僕に買える代物ではない。彼をそのままにするのは不憫な気がして、黙って持ち帰った。
イチローの回路はショートしかけている。もうすぐ燃料も尽きてしまうのだろう。しかしこんな愛くるしい顔をした彼を、あんな無造作に捨て去ることが出来るなんて、どんな主人だったのだろう。
僕の狭い部屋にイチローの声が響く。「愛しています。愛しています・・・」
僕はイチローをそっと抱きしめる。もういいんだよと。
イチローの目に涙が浮かんだように思えたのは僕の思い過ごしだろうか。
それから1週間、イチローは生きた。
はじめは子供が迷い込んだのかと驚き、急いで駆けよった。遠目に人間の子供にしか見えなかった。
イチローは壊れた人形よろしく、同じ科白を繰り返し繰り返し口にしていた。
「ご主人様、愛しています。愛しています・・・」
そこに誰もいないのに、「愛しています・・・」繰り返し繰り返し。
清掃員の僕が近づいても、まるで視界に入っていないみたいだった。
壊れたアンドロイド。大量消費の高価な玩具。
もちろん、安月給の僕に買える代物ではない。彼をそのままにするのは不憫な気がして、黙って持ち帰った。
イチローの回路はショートしかけている。もうすぐ燃料も尽きてしまうのだろう。しかしこんな愛くるしい顔をした彼を、あんな無造作に捨て去ることが出来るなんて、どんな主人だったのだろう。
僕の狭い部屋にイチローの声が響く。「愛しています。愛しています・・・」
僕はイチローをそっと抱きしめる。もういいんだよと。
イチローの目に涙が浮かんだように思えたのは僕の思い過ごしだろうか。
それから1週間、イチローは生きた。
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