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記憶〜プロローグ〜

[456]  嵯峨野 龍  2008-03-28投稿
変わらない日々。
変わらない町…。
いったい、あとどのくらい時が経てば、変わるのだろう…。
ただ、これだけは変わらない。俺がこの町と、この町での日々が、嫌いだということは…。

「オハヨー。」
「ウィーッス。」
二年以上通い続けているらしいこの通学路で、いつものように挨拶が交わされる。
「ヨーッス、長月。」
俺の名前が不意に呼ばれ、ビックリして振り向くと、そこには一人の男が居た。…いや、コイツの場合、一人というよりは独りという方がしっくり来るな。
「…オーイ、どーした?まだ、目が覚めてねーのか?」
「…コイツの名前は、藤堂諦(とうどうあきら)。俺のパシリだ。」
「パシリじゃねぇ!!」
今紹介したように、コイツは藤堂諦。俺のパシリ兼友達だ。
「なんか今、物凄く僕に失礼な紹介しなかった?」
藤堂は顔をひきつらせて俺を見ている。
「えっ?お前に対して失礼な言葉ってあるのか!?」
俺はそれを素で返した。
「あるわボケェ!!!」
意外な事実だった。
「ったく、本当に変わらないよね、そういうところ。…で、今日から本格的に登校し始めるんだよね?本当に大丈夫なの?」
藤堂が心配そうに訊いてくる。
「あぁ…。」
実を言うと、俺は二ヶ月程学校を休んでいた。理由は俺がトラックに跳ねられて入院していたからだ。しかし、怪我自体は一ヶ月で完治した。なのに、入院が一ヶ月も延びたのにはもう一つの理由がある。俺が病院のベットで目を開けたとき、俺は全てを忘れていた。…そう、記憶喪失だ。

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