漆黒の翼 49
雪原の中をその貨物列車は疾走していた。
貨物の部分にはタンクの様なモノが設置されている。
運転席には、血まみれの制服を着た人間の運転士が黙って電車を操縦している。
床にはおびただしい量の血。
普通なら出血死するであろう量の血が流れたのにも関わらず、運転士は無表情で操縦し続けている。
この電車の行き先は
富良里
*
山奥の街や村には魔力遮断装置と呼ばれるモノが必ず設置されている。
魔力につられてやって来る魔獣から街を守る為だ。
しかし目の前にある筈の富良里町の魔力遮断装置は綺麗さっぱり無くなっていた。
そう、荒らされたり、強引に壊された形跡も無く、無くなっていた。
「やっぱりな…魔獣が進軍してる時点でおかしいと思った。」
アイラ人の特徴である灰色の目と彫りの深い顔立ちの男はそう言った。
レイピアを持つ右手はブルブルと震えている。
『もう…この街は終わりだ…』
男は無線機を取り出し、チャンネルを合わせる。
「こちらブリード。 対策本部!!」
「こちら対策本部。どうした?」
「遮断装置が綺麗さっぱり無くなってやがる!!
もうおしまいだ!!」
無線機を持つ手は震えて、唾を撒き散らしながら怒鳴る。
「無くなった!?
どういう事だよ?」
「言葉の通りだ!!
本当に綺麗さっぱり無くなって…」
その時、雷がすぐ近くに落ちた様な轟音が二回程響き、鋼鉄の床がぐらぐらと揺れた。
「何だ今の…
まるで雷みたいな…」
しかし直ぐに驚いている場合では無い事に気が付き、再び無線機に怒鳴る。
「だからもうこの街はおしまいだ!!
…っておい!!
聞いてんのか?
返事しろよ!!」
ブリードが呼びかけても返ってくるのはザーザーというノイズ音だけ。
『まさか…』
悪い予感がしたのか、ブリードは外に出た。
外のベランダからは富良里の街が一望出来る。
「そんな…これからどうすりゃ良いんだよ…」
対策本部は富良里の街で一番高い町役場のビルにあった。
そしてその全軍を指揮する司令塔は遮断装置と同じく綺麗さっぱり無くなっていた。
貨物の部分にはタンクの様なモノが設置されている。
運転席には、血まみれの制服を着た人間の運転士が黙って電車を操縦している。
床にはおびただしい量の血。
普通なら出血死するであろう量の血が流れたのにも関わらず、運転士は無表情で操縦し続けている。
この電車の行き先は
富良里
*
山奥の街や村には魔力遮断装置と呼ばれるモノが必ず設置されている。
魔力につられてやって来る魔獣から街を守る為だ。
しかし目の前にある筈の富良里町の魔力遮断装置は綺麗さっぱり無くなっていた。
そう、荒らされたり、強引に壊された形跡も無く、無くなっていた。
「やっぱりな…魔獣が進軍してる時点でおかしいと思った。」
アイラ人の特徴である灰色の目と彫りの深い顔立ちの男はそう言った。
レイピアを持つ右手はブルブルと震えている。
『もう…この街は終わりだ…』
男は無線機を取り出し、チャンネルを合わせる。
「こちらブリード。 対策本部!!」
「こちら対策本部。どうした?」
「遮断装置が綺麗さっぱり無くなってやがる!!
もうおしまいだ!!」
無線機を持つ手は震えて、唾を撒き散らしながら怒鳴る。
「無くなった!?
どういう事だよ?」
「言葉の通りだ!!
本当に綺麗さっぱり無くなって…」
その時、雷がすぐ近くに落ちた様な轟音が二回程響き、鋼鉄の床がぐらぐらと揺れた。
「何だ今の…
まるで雷みたいな…」
しかし直ぐに驚いている場合では無い事に気が付き、再び無線機に怒鳴る。
「だからもうこの街はおしまいだ!!
…っておい!!
聞いてんのか?
返事しろよ!!」
ブリードが呼びかけても返ってくるのはザーザーというノイズ音だけ。
『まさか…』
悪い予感がしたのか、ブリードは外に出た。
外のベランダからは富良里の街が一望出来る。
「そんな…これからどうすりゃ良いんだよ…」
対策本部は富良里の街で一番高い町役場のビルにあった。
そしてその全軍を指揮する司令塔は遮断装置と同じく綺麗さっぱり無くなっていた。
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