aliment 004
「なんで赤くなるイコール、リボンなの?」
リゾットの残りを朝飯に、リボンがサル坊に尋ねた。
TKはまだ起きない。
「赤いリボン、付けてたろ。あの日」
「私?」
記憶には無かった。
ただリボン自身、何十人もの男に襲われた後だったので、着衣がどうなっているかなど記憶しているハズもなかった。
「思い出さなくても、そのリボンだけは一緒に持って帰って来てるから」
「え…」
洋服棚の奥から丁寧にしまわれた、長いリボンが出てきた。
そうとう安っぽい造りだ。
「これ……っ…!あたし卒業式の日に友達からもらった!みんながつなげて作ってくれた、リボンだ」
思い出すきっかけがなかった。ただそれだけの理由で記憶から消えかけていた。
友達がいたのだ。
卒業生が胸に付けたリボン。
それを結んで一本にしてくれた。
あの日以来会っていない仲間たち。
卒業式のそのまさに当日、沖川セリナはリボンとなったのだ。歌手しか希望を持っていなかった。
上京資金も後少し。
あっちでオーディションや面接に集中出来るだけの資金が貯まる。
寸前だった。
「なんであんなトコ行ったんだろ私」
「人間てウマそうながモンが目の前にあったら食べずにはいられないよな〜。我慢出来なくても仕方ないことってあると思うぜ。ハラ減った」
そう言ってサル坊はリボンを手渡すと、残りの朝飯に食らいつき始めた。
「サル坊さ、私ってバカだと思う?」
「どうだろう。見かけはバカそうだけどな」
サル坊は笑いながらまた朝飯を食べる。
希望にすがるあまり絶望に堕ちた。
悲劇の人生。
そんなところが自分でバカらしいと思っていた。
でもこのリボンが思い出させてくれた。
「サル坊!」
リボンの手には仲間が結んでくれた赤いリボンが握られていた。
「私もう一度、歌手目指してみる」
リゾットの残りを朝飯に、リボンがサル坊に尋ねた。
TKはまだ起きない。
「赤いリボン、付けてたろ。あの日」
「私?」
記憶には無かった。
ただリボン自身、何十人もの男に襲われた後だったので、着衣がどうなっているかなど記憶しているハズもなかった。
「思い出さなくても、そのリボンだけは一緒に持って帰って来てるから」
「え…」
洋服棚の奥から丁寧にしまわれた、長いリボンが出てきた。
そうとう安っぽい造りだ。
「これ……っ…!あたし卒業式の日に友達からもらった!みんながつなげて作ってくれた、リボンだ」
思い出すきっかけがなかった。ただそれだけの理由で記憶から消えかけていた。
友達がいたのだ。
卒業生が胸に付けたリボン。
それを結んで一本にしてくれた。
あの日以来会っていない仲間たち。
卒業式のそのまさに当日、沖川セリナはリボンとなったのだ。歌手しか希望を持っていなかった。
上京資金も後少し。
あっちでオーディションや面接に集中出来るだけの資金が貯まる。
寸前だった。
「なんであんなトコ行ったんだろ私」
「人間てウマそうながモンが目の前にあったら食べずにはいられないよな〜。我慢出来なくても仕方ないことってあると思うぜ。ハラ減った」
そう言ってサル坊はリボンを手渡すと、残りの朝飯に食らいつき始めた。
「サル坊さ、私ってバカだと思う?」
「どうだろう。見かけはバカそうだけどな」
サル坊は笑いながらまた朝飯を食べる。
希望にすがるあまり絶望に堕ちた。
悲劇の人生。
そんなところが自分でバカらしいと思っていた。
でもこのリボンが思い出させてくれた。
「サル坊!」
リボンの手には仲間が結んでくれた赤いリボンが握られていた。
「私もう一度、歌手目指してみる」
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