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彼の恋人

[284]  高橋晶子  2008-03-31投稿
3月下旬、博文達は奈良公園にいた。臨だけ進路が決まらず、後期で受けた奈良女子大に望みを賭けていたのだ。結果、全員の進路が決まったので、鹿と戯れている訳だ。みくも泉も鹿を餌に博文に誘われて、鹿の餌付けを楽しむ。
ベンチで休んでいる孝政は、それぞれの進路をざっとおさらいする。
「僕は彩子さんと祥恵ちゃんと同じ富山だけど、キャンパスはバラバラ。亜鶴は近畿の農学部で、關君は横浜国立、みくちゃんはお茶女で、野中さんは明治学院、千聖さんは慶應の理工学部に受かったのに環境情報学部で、濱野谷さんは奈良女子、博文君は横浜国立を蹴ってICUに入って、裕介君は京大。ハァ〜。僕の周りの人って、こんなに凄かったんだね」
横に座っている州和が愚痴を溢す。
「そうだよ。一緒に横浜国立に入ろうって言ったのに、ICUはないだろう? 博文君!」
みくは吃驚した。横浜国立よりレベルの高い大学に受かれば話は別だ言っていたが、よりにもよってICUに受かるとは思っていなかった。
鹿とじゃれあう博文が弁解する。
「世界を身近に感じたいならICUがいいと担任が勧めたんだよ。英語と高い学費に泣くだろうけど、それに見合うだけの勉強に打ち込められるなら受けてもいいと親も納得したんだ。3年になって“ジェンダー・セクシュアリティ研究”を専攻出来るのが一番の魅力だし」
博文の話に耳を傾けた裕介はピンときた。
「ジェンダー・セクシュアリティか。佳純さんだな。女子大に行けば男と女のジェンダーのみの争いになるけど、ICUに行けば何故佳純さんの様な人が生まれ、彼等が偏見と戦わなくてはならないのか研究出来るかも知れないな」
「ねぇ、裕介。先輩が此処にいないのは残念だね」
祥恵が残念がるのも道理だ。佳純の好きな人がセクシュアル・マイノリティに理解を示し、当事者を支援してくれたらどれだけ幸せか、皆は願っていたからだ。
佳純が此処にいたら……。
「私達、話が全然見えないんですけど、それって他人事では済まされないって事でしょう?」
恐る恐る尋ねる泉に裕介は優しく応える。

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