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Mind Adventure 11

[456]  籬 規那  2008-03-31投稿

やはり何か裏があって地上にきていたのだろうか。

フィレーネの魔力の痕跡を辿りながら行くと、小さな湖に出た。



超音波のような音が辺りにか細く響いている。


以前祖母から聞いた事がある。

独立した文明を持つ亜人は、当然言語も伝達方法たも住む場所によって独特で、亜人と何かトラブルがあれば、ささやかな動き、ほんの雑音にも気をつけないといけない、と。


――ィィイィイン……


音を頼りに草を掻き分けて進む。


(見つけた……)

河辺に佇む女性。あの長い黒髪はフィレーネに違いない。


会話してる………様子は無いな……

さっきの様子とはまるで別人だ。

音はとぎれとぎれに弱々しく、ヒトの言葉でなくても震えてしまっているのが分かる。


短い音と長い音が不規則に並び、空気を揺らす。高すぎるはずの音域が、何故だか心地よかった。


それは、最後の惜別の唄。









「それにしても……フィレーネさんは、凄くお綺麗ですよね」

翌日の道中。
いつもの通りの口調でメシアがやんわりと言う。

「"亜人や混血の方々は色素や細かな造りが異なる事から秀麗というか、良い意味で純粋なヒトとは外観が違う"と私の育ての親が教えてくれました。」

空気が一瞬にして張り詰めた。ジンはフィレーネの動きを鋭い眼光で窺い、ディルは歩きかけの不安定な姿勢のまま硬直している。

この天然娘は正気だろうか。


「おかしな世の中ですよね。こうして助け合う事が出来るのに」


そういう事か。多分メシアは、自分達は敵同士ではないと言いたいんだ。こう無邪気に言われては、よほどの事がない限りお互い手が出せない。


漠然と、そう思った。

思えば、目覚めて直ぐに見たフィレーネの尾鰭には妖需も目を奪われた。


光を反射して動くたびにキラキラと輝く鱗に、確かに一度見とれた。


――だけど私にはそんな余裕なんて無くて……

自分を守るために手を尽くすのに精一杯で、忘れていた。





私の事が知れてしまっても、誰かがこうして包み込んでくれるのだろうか。

状況が理解できずにほうけているフィレーネに、少しだけ羨みを感じた。


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