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細波maker〜PROLOGUE〜

[381]  くままま  2008-04-05投稿
五月某日
天気快晴
体調良好





空のその青さを意味深と呼ぶにはあまりにも充分過ぎた



まるで新品の絵の具のような
希望に満ちた青



世の不条理も何もかも塗り潰せるような青



そうそんな青の中に僕はいた














だけど僕は





不条理と戦うような勇気もないあまりにその青には不釣り合いな人間だった





父は無職
働く気はない
学校から帰ってきた僕に背中でおかえりと言うことだけが仕事







母はパート勤務
僕には無関心
三食冷凍食品を出し、僕という存在を頭ごなしに否定するのが仕事









学校、社会、対人関係










青の中…
そう僕は今空に行こうとしている
死んで星になるなんて話昔から信じてなんかいないけれど








こんなんよりかマシだ!










五階建てビルの屋上だ
ヒーローでもない限り助からない










遺書は書いた
三回も書き直した
文才はない割にうまく書けた








少し足が震える
…痛そうだな
飛び降りはやっぱやめようかな-…










いやここまできたんだ
覚悟を決めろ…











さらば、我が15年間!!












「少年いい天気だなぁ」







僕の足は急ブレーキをかけたせいで顔面から派手にこけた
まるでコントのように










始まりは何時だって突然で
何時だってそこに扉があるんだ
それを開けるも開けないも君次第










ゲームのオープニングの台詞だ








僕はこの時どうやら扉を開けてしまったらしい
いや開いてしまったのかな










ともかくこいつとの出会いが後々の僕の運命を大きく変えてしまうということをまだこの時の僕は知らない








僕はただ













限りない青の中で自らの鼻から出続ける赤をどうやったら止められるか



それだけ考えていたんだ


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