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一陣の風 〜 結

[664]  朝倉令  2006-05-02投稿


「あ…… 痛ゥ…」


「あら良かった、意識が戻ったみたいね」


「……ここは?」



俯せに寝かされていた木村猛は、誰かの優しい手が患部の辺りを冷やしてくれていたのに気付き、目覚めていた。



「……そうだ!まだ勝負は終わっちゃいない!!」



ガバッと跳ね起きた猛は、直後に猛烈なめまいを覚え再びへたり込んでしまう。





「いやぁ、どうもお手数かけました。 ……それにしても、本当にそっくりですよね。
凛さんの事、涼と間違えてド突く所でしたよ」


「アハハ、よく言うよこの男は。 どつける位なら伸びたりしませんよーだ」


「涼ちゃん、言い過ぎよ?誰だってあんな攻め方されたら面食らうわよ。
 ウフフッ…飛び付いてキスでもしかねない勢いだったじゃない?」



双子の姉、凛さんが笑顔で妹をたしなめる。


彼女の言う通り、突然目の前数センチの至近距離に美女の顔が迫れば、男なら誰だって動けやしない。


まさに『奇襲』、それも実に猛の弱点を突いた……



「でもさァ、初めて攻撃食らっちゃったぁ。 狙いがかなりHだけどね♪」



「いや、あれは無意識に」

「て事は触りたかったんでしょ? ヘンタイ君」


「ぐ…………」



涼の胸元のペンダントをむしり取っていた猛には、反論するすべもなかった。



「でもね?」

涼が続ける。

「あの、勝負に対する執念は気に入っちゃったぁ♪」


その言葉の後、涼は猛に顔を寄せて、頬にチュッとキスをしていた。



(おおーっ!……ゆ、夢なら覚めないでくれ〜っ!)


女性たちと無縁な青春を送り続けていた猛。


彼は、つい先程まで敵呼ばわりしていた涼に、再びノックアウトされていた。


 幸せな意味で……







終わり… だけどまた続編があるかも。(作者)

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