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endo・memory3

[360]  井浦快里  2006-05-02投稿
「ぎゃああぁ!」アクセルが宙高く飛ぶ。下ではスカイがニヤニヤと笑っている。 ―ドサッ アクセルが地面に落下した。ユキが目を覆う。 「ぐえっ!」 アクセルは落ちるとカエルが潰れたような声を出した。その横に木の剣がむなしく落ちる。 「あだだだ…」 アクセルの横に落ちた剣をスカイが回収し、自分の持っていた剣と束ねた。スカイはアクセルを見、悪戯っぽく笑って見せる。 「俺に勝つなんて10年早いんだよ我が弟。」 「俺は女だ!」 弟という言葉にカッと来たアクセルは、スカイをすごい形相でにらみつけた。まぁ、アクセルは半袖に短いズボンなので男と見られてもしょうがないのだろうが。スカイが思わず笑う。 「はは!ま、頑張れや。俺は先に帰るぜ。」スカイはそう言うと舟の置いてある河の方へ呑気に歩いて行ってしまった。アクセルが額を掌でこする。アクセルの額は強く強打されたせいか、赤く腫れていた。 「アクセル、大丈夫?」 ユキはアクセルにかけ寄ると、ポケットから小さな救急箱を取り出した。アクセルがユキを見上げ、差し出された手に自分の手を重ねる。アクセルは立ち上がるとユキの手に引かれるがままに河の跳ね橋の方へと歩いて行った。 ―跳ね橋 ユキがアクセルの額に湿布を貼る。冷たい感触が心地良い。向こうにはもう夕日が沈みつつあり、河にはその赤い光が美しく水に反射していた。ユキがそんな宝石のような河を見て、口を開く。 「この空の下で、君と僕は会ったよね…♪」 歌だ。ユキはこの歌をよく歌っている。それは寂しさをまぎらわすために歌っているのだと、一度だけユキに聞いた事がある。 「いろんな未来、君と、見て行きたい…♪歩こうよ」風が通り過ぎて行くようにすき通った歌声は、アクセルにとって聞き慣れた物である。 「月の光照らす世界で、皆の心が繋がるまで…」 そこでユキが歌うのを止め、アクセルに静かに振り返った。アクセルが少々ぴくりと動く。ユキが優しい顔で言った。 「アクセル、」 「ん?」 アクセルが夕日を眺める。ユキはにっこりと笑い、アクセルと同じく夕日を見た。 「いつまでも、手、繋いでてね。」ユキはそう言うと立ち上がる。だが、アクセルにはユキが何を言いたかったのか、わからなかった。

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