狂人 ?
彼は、言葉を続けた。 「どうして人間は、毎日毎日、働くことができるエネルギーを持てるんだろう?僕は、それが不思議でたまらない。僕は、どうしても、そのエネルギーを持つことができないんだ。 人は何かをしたいというよりも、年がら年中、何かをして気を紛らわせていなければ、不安や恐怖を感じ始めるから、何かせずにはいられないだけなんじゃないだろうか?
ボランティアに精を出しているある人が、家でじっとしていると、得体の知れない不安が襲ってくるから、外に出掛けると言っていた。」彼女は、彼の否定的な考えを、少しでも肯定的な方へ向かわせようと語りかける。
「そんなことはないわ。社会のため、自分の家族のために、自分の与えられた能力を生かして、働こうとすることは、とても尊いことだし、皆それに生き甲斐を感じて、毎日、一生懸命、生きているのよ。」
彼女は、彼の眼をじっと見つめながら、さらなる言葉を探した。
「それに、子どもやお年寄り、病気の人たちのために、身を投げ出して、働く姿は、本当に美しいものよ」
彼は、強く頭を横に振りながら、彼女の話を遮った。
「それは、自分のことに執着せずに、他人のために動いていたほうが、自分が楽だからさ。 それが証拠に、普段どんなに善人にみえていても人間は、いざという時、恐ろしいほど、あさましい姿に変貌する。 結局は、自分が助かりたい、楽になりたいという本能しかないんだ。
僕自身も、こんなことを、突き詰めて考えるのは良くない、考えても仕方ないことなのは、分かっている。
でも、ふと我に返ると、陽が暮れたのにも気付かず、真っ暗な部屋で、一人じっと考えこんでいる自分がいるんだ…
僕は、もう気が変なんだろうかと思うと、恐ろしくて堪らなくなる」
ボランティアに精を出しているある人が、家でじっとしていると、得体の知れない不安が襲ってくるから、外に出掛けると言っていた。」彼女は、彼の否定的な考えを、少しでも肯定的な方へ向かわせようと語りかける。
「そんなことはないわ。社会のため、自分の家族のために、自分の与えられた能力を生かして、働こうとすることは、とても尊いことだし、皆それに生き甲斐を感じて、毎日、一生懸命、生きているのよ。」
彼女は、彼の眼をじっと見つめながら、さらなる言葉を探した。
「それに、子どもやお年寄り、病気の人たちのために、身を投げ出して、働く姿は、本当に美しいものよ」
彼は、強く頭を横に振りながら、彼女の話を遮った。
「それは、自分のことに執着せずに、他人のために動いていたほうが、自分が楽だからさ。 それが証拠に、普段どんなに善人にみえていても人間は、いざという時、恐ろしいほど、あさましい姿に変貌する。 結局は、自分が助かりたい、楽になりたいという本能しかないんだ。
僕自身も、こんなことを、突き詰めて考えるのは良くない、考えても仕方ないことなのは、分かっている。
でも、ふと我に返ると、陽が暮れたのにも気付かず、真っ暗な部屋で、一人じっと考えこんでいる自分がいるんだ…
僕は、もう気が変なんだろうかと思うと、恐ろしくて堪らなくなる」
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