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途切れた記憶

[129]  迷子の手紙  2008-04-09投稿


忙しく駅に向かう私。
何時からか時間に追われる社会人になった。


すれ違う学生服がとても遠く感じる。
ほんの少し前、私だって着てた。
なのにもう遠く昔話のように感じる。

思いだそうとしてもあやふや。


あの時私どうしてたんだろう。

電車に揺られて細い記憶を辿り始めた。


春雨が降る入学式。憧れていた高校の制服に腕を通した。

新しいことを始めたくて運動音痴の私がテニス部に入った。

…………違う。
私が忘れてるのは、もっと大切な思い出。

それから…………
それから…………


そう……。
それからアナタと出会ったのね。
そうか。
忘れてたんじゃない。
忘れようとしてたんだ。

自己防衛ってやつだ。

思い出した途端に流れ出てくる。

走馬灯のようにアナタが私の頭の中を駆け巡る。

休み時間に交わしたルーズリーフの手紙

帰りに待ち合わせた自販機の前

一日中手を繋いで歩いたデート

お互いの名前を入れたメールアドレス

喧嘩したクリスマスの夜


いくらでも出てくる。


あれ……
なのにアナタの言った一言だけは思い出せない。


私の記憶が途切れてる。


あの日からプツンッと…………




何か歯痒い。
思い出したいけど、
思い出したら私が壊れてしまいそうで。


そう。自己防衛……。


もう二度と傷付かないように。


優しい過去の私は思い出に蓋をした。



まだそれを開ける勇気はない。

開けてしまったら消えてしまう気がする。


アナタと通った同じ電車の中で、私はアナタをきっと永遠に忘れない。


ずっと思い出せない思い出を抱いて。

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