狂乱 後編
声がしていてはいけない
あなたの存在が誰の目にも触れるようでは
日記をとじる。
だってもう、その必要はないんだ。あなたを見つめて、思い出し……
これは、これで幸せだった。
だけれど私達は新たな門出を迎えるんだ。
お互いの為に。
彼女の赤く、美しく、なまめかしいほどに甘美な。
血液を。
内側を、そして用意してあった材料を使って
ひ と つ に な る
趣味で魔術を学んでいてよかった。
さあ。魔法陣が完成したよ。
生まれたのは、二人の人間を混ぜ合わせた化け物だった。
不完全な魔術により、無理矢理にくっつけた体は、もはや肉塊でしかなく
声も、二人が同時に泣き叫んでは、意味を持って聞こえない。
『幽霊屋敷』
そうよばれる廃墟には、
今も人でないものの慟哭がこだまする
感想
- 9604: 作者です。主語や、文体の僅かな変化(主人公、だんだん狂っております)に、気付いてくれる方がいらっしゃったのなら、幸いです。 よく考えると、さりげない言葉の中に隠語が含まれていたり、他の意味としてとれたりと、深い作品に仕上げました(^-^)←携帯小説? それぞれのスタイルで、お楽しみ下さい。 籬 規那 [2011-01-16]
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