ストーカー
アパートの窓から顔を出すといつも目の合う隣のアパートの男が、ストーカーになった。何気なく外に目をやると、隣のアパートで目が光っているのだ。夜中のコンビニでも、出勤途中の道でも、所かまわず男は現れた。大した面識もないのに、合う度ほほえんで会釈を交わす。男が気持ち悪くて仕方ない。
今日も後ろを歩いている。私はたえきれなくなり、思い切って振り返った。やはり隣のアパートの男。至ってふつうっぽいけれど、アニメなんかが好きそうなオタクに少し見えた。振り返った私に驚いたらしく、男は立ち止まった。
「あのっ」
私たちは五メートルほど間を空けたまま、見つめ合った。何て言えばいいのか、よくわからない。私は唾を飲み、目と口調をきつくして言った。
「もう、つきまとわないでください」
私の言葉に男は唖然とし、立ち尽くした。これでストーカー行為がおさまるだろうとほっと胸をなで下ろし、男を残して私はまた歩きだした。
しかし、駅で電車待ちをしているとまた視線を感じる。男が執念深くついてきているのかと辺りを見回したが、男の姿はなかった。その代わり他の男が私を見ている。サラリーマン風の男は、私と目が合うとすぐに視線を逸らした。満員電車の中ではぴったりと私にくっついてきた。会社のある五駅目で私は電車を降り、やっと男から解放された。小走りで会社まで行き、深くため息をついてから仕事に取りかかる。仕事をしながら、私はそんなにもてる方だったか、と考えた。学生時代はそうでもなかったが、今は魅力的なのかもしれない。小さく笑ってしまった。
考えごとをしていると時間の進みは速く、いつの間にか昼になっていた。私は会社近くのおいしい洋食屋にいつも通り入ると、なんと駅で私を見ていたサラリーマン風の男がいた。やはり勘違いではなかった。またストーカーされている。男を警戒しながらランチを食べ終えて席を立つと、男も同じく立ち上がった。間違いない。レジの前に二人で立った。こういうことは初めが肝心だ。
「あなたのやっていることはストーカーですよ!」
男は唖然とし、立ち尽くした。私はさっさと会計を済ませてその場を去る。やった、私もなかなかやるじゃない。一日に二人ものストーカーを退治した自分が誇らしかった。けれど。
なぜ今まで気づかなかったのだろう。周りの男たちが、いや、男に限らず女まで私を見ている。私は頭を抱えた。まさか。
今日も後ろを歩いている。私はたえきれなくなり、思い切って振り返った。やはり隣のアパートの男。至ってふつうっぽいけれど、アニメなんかが好きそうなオタクに少し見えた。振り返った私に驚いたらしく、男は立ち止まった。
「あのっ」
私たちは五メートルほど間を空けたまま、見つめ合った。何て言えばいいのか、よくわからない。私は唾を飲み、目と口調をきつくして言った。
「もう、つきまとわないでください」
私の言葉に男は唖然とし、立ち尽くした。これでストーカー行為がおさまるだろうとほっと胸をなで下ろし、男を残して私はまた歩きだした。
しかし、駅で電車待ちをしているとまた視線を感じる。男が執念深くついてきているのかと辺りを見回したが、男の姿はなかった。その代わり他の男が私を見ている。サラリーマン風の男は、私と目が合うとすぐに視線を逸らした。満員電車の中ではぴったりと私にくっついてきた。会社のある五駅目で私は電車を降り、やっと男から解放された。小走りで会社まで行き、深くため息をついてから仕事に取りかかる。仕事をしながら、私はそんなにもてる方だったか、と考えた。学生時代はそうでもなかったが、今は魅力的なのかもしれない。小さく笑ってしまった。
考えごとをしていると時間の進みは速く、いつの間にか昼になっていた。私は会社近くのおいしい洋食屋にいつも通り入ると、なんと駅で私を見ていたサラリーマン風の男がいた。やはり勘違いではなかった。またストーカーされている。男を警戒しながらランチを食べ終えて席を立つと、男も同じく立ち上がった。間違いない。レジの前に二人で立った。こういうことは初めが肝心だ。
「あなたのやっていることはストーカーですよ!」
男は唖然とし、立ち尽くした。私はさっさと会計を済ませてその場を去る。やった、私もなかなかやるじゃない。一日に二人ものストーカーを退治した自分が誇らしかった。けれど。
なぜ今まで気づかなかったのだろう。周りの男たちが、いや、男に限らず女まで私を見ている。私は頭を抱えた。まさか。
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