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モヤイ像で会いましょう

[215]  後藤アイレ  2008-04-15投稿
待ち合わせはいつも渋谷駅モヤイ像前で…それが当時の僕達の決まり事だった。
「だってハチ公前は人がウザイぐらい多いし…あそこで待ち合わせしてもすぐに会えたためしがないよ!だからハチ公よりマイナーなモヤイ像の前がいいの!!!」そう力説した彼女の言葉を思い出す。
渋谷にモアイ像?なんだそりゃと当時訝しげに思ったが、渋谷駅の東急プラザ側に面したバスロータリーの片隅にそれはある。いわゆる石でできた鼻の長〜い巨大な顔面像だ。イースター島にある歴史的な石像『もどき』とも言える。それが土に突き刺さっていて?(…花壇のようになっていたかもしれない)その周りをぐるっと手すりが囲っている。知る人ぞ知る渋谷の待ち合わせスポットだ。また渋谷のは『モアイ』ではなく『モヤイ』らしい…
その手すりに腰掛けて彼女がやってくるのを僕はしばし待った…というかよ〜く待たされた。自分が待たされると烈火の如く怒るくせに僕の事は平気で1時間位待たせるからたまったもんじゃない。
三度に一度位の割合で僕が切れると「〇〇君ごめんね。お願いっ…怒らないで?」と目をウルウルさせて上目使いで懇願するものだから結局いつもうやむやになってしまった。

だがそんな彼女ともささいな事で喧嘩をしてしまいそれっきりになってしまった。喧嘩の原因が何だったかさえ覚えていない。
彼女の顔も今では曖昧だ…おぼえているのは、嘘泣き(!)が上手でしたたかでルーズで…でも渋谷が大好きな明るい女の子だったということ。

あいかわらず渋谷は人で溢れている。
モヤイ像に目をやれば、ちらほらと誰かを待つ人の姿を見ることができる。
その様子を横目でとらえつつ今日もひとり、僕は通り過ぎる。


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