星の蒼さは 49
「アメリカへ?」
「らしいぜ。幹部共が話してるのを聞いたんだからな」
あおかぜ艦内はちょっとした騒ぎになっていた。
噂は尾びれ背びれを付けて泳ぎ廻り、果てはこのまま宇宙にでる。といった憶測までも流れ始めていた。
ここ、あおかぜ格納庫もその話題でモチキリであったのは言うまでもない。
「どうやってアメリカへ?」
若い整備士が煤だらけの顔を向ける。
「太平洋横断か?」
何気なく野口が答える。
ガタッ。
誰かが工具を取りこぼす音が響く。
一瞬で静まりかえる格納庫。
「どしたの」
ハルが聞いても誰も答えようとしない。
「魔の海」
誰かがやっと搾りだすように呟いた。
「知らねーの?」
太陽兵器『The God Of Day』の光がハワイ諸島を更地に変えてから約半年。太平洋の制海権を喪失した合衆国海軍は主力海上戦力を本土近くに集結。反撃作戦『A+』が失敗するまでアメリカ本土は無傷だったのだが、それは同時に太平洋を月軍に明け渡す形になってしまったのだ。
以来、朝霧に紛れて艦船を葬る大艦隊『幽霊艦隊(ファントムフリート)』が太平洋を闊歩するようになり、太平洋は『魔の海』と呼ばれるようになったのだ。
「らしいぜ。幹部共が話してるのを聞いたんだからな」
あおかぜ艦内はちょっとした騒ぎになっていた。
噂は尾びれ背びれを付けて泳ぎ廻り、果てはこのまま宇宙にでる。といった憶測までも流れ始めていた。
ここ、あおかぜ格納庫もその話題でモチキリであったのは言うまでもない。
「どうやってアメリカへ?」
若い整備士が煤だらけの顔を向ける。
「太平洋横断か?」
何気なく野口が答える。
ガタッ。
誰かが工具を取りこぼす音が響く。
一瞬で静まりかえる格納庫。
「どしたの」
ハルが聞いても誰も答えようとしない。
「魔の海」
誰かがやっと搾りだすように呟いた。
「知らねーの?」
太陽兵器『The God Of Day』の光がハワイ諸島を更地に変えてから約半年。太平洋の制海権を喪失した合衆国海軍は主力海上戦力を本土近くに集結。反撃作戦『A+』が失敗するまでアメリカ本土は無傷だったのだが、それは同時に太平洋を月軍に明け渡す形になってしまったのだ。
以来、朝霧に紛れて艦船を葬る大艦隊『幽霊艦隊(ファントムフリート)』が太平洋を闊歩するようになり、太平洋は『魔の海』と呼ばれるようになったのだ。
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