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カミサマ 〜黒き姫〜

[493]  BgwP←/  2008-04-19投稿

 黒き姫、つまりアイサはとてもとても幸せな子だった。

 家は裕福で不自由な事など何一つなく、友人にも恵まれ、あらゆる人たちから大切にされ、愛されていた。

 そしてアイサは、神を信じていた。

 悪を憎む神を信じていた。


 あの日、アイサには詩が聴こえた。


―――神は貴方を愛すだろう。
神は私を嫌うだろう。
神は貴方を愛し、愛しきあまりに殺すだろう。
神は私を嫌い、嫌いなあまりに生かすだろう。
この世で死ほど愛される事はなく、生ほど嫌われる事などない―――\r


 アイサはそれを否(いな)とした。

 神は人を愛すからこそ生かすのだと信じていたから。

 神は人を嫌うからこそ殺すのだと信じていたから。

 だからアイサは教会に入ったのだ。

 間違っていると言いたかった。
 でも、言えなかった。

 そもそもあの場で詩っていた人間などいなかったから。


 その代わり、彼に会った。

 アイサには彼が天使に見え、悪魔に見え、使途に見えた。


「お帰りなさい。黒き姫―――」


 彼にそう言われた時、アイサは一瞬わけが判らなかった。

 しかし、即座に悟った。

 これは天命なのだと、神のお導きなのだ思った。

 だから、アイサは言った。





「ただいま。サラサエル―――」

感想

  • 9660: 面白い世界観ですね?応援してます、頑張ってくださいませ? ゆうこ [2011-01-16]

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