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遺書−私と彼女という現象−

[320]  あきは  2008-04-20投稿
−第一話− 
『A』は私と隣り合い何気ない様子で、まるでお茶をしにいくのとでも言うかのようにサラリと言った。
「私はね…死ぬための方法を探してるのよ。」
唖然とする私に気がついていないかのように『A』は、穏やかに言った。
「貴方には、話しておかないといけないでしょう?」


 幼い頃、私は内気で内向的で虐めの恰好のまとで、友達らしい友達もいない子供だった。
対して『A』は勝ち気で少し我が儘で、一風変わった子供で友達がいなかった。
そんな訳で、友達がいない者同士・正反対の性格が相性に良かったのか、何時の間にか私の隣には『A』がいた。

 中学の頃、虐めに死にたいと言った私に自殺がいけない事だと理路整然と言いくるめた『A』。
看護師として死を目前にして泣きながらも看取っていた『A』。
 自分の祖母が自分の働く病院に運ばれ、自分独りで看取り、身体を浄めた『A』。
そんな彼女が自殺すると言う。あまりの矛盾に私は息が止まるかと思うほどの驚きだった。


「な、なんで……?」
私の声に『A』は微かに目を伏せた。
「色々あったから。」
「い、色々って……?」
『A』は伏せていた目を上げ私を見る。その瞳は泣いている様にも見えたが、逆に怒りに震えているかの様にも見えた。
「自殺するけど、他殺なのよ。貴方はそれを知っていてほしい。」

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