スノーグッバイ 〜届く前に溶けていく。〜3
その日のバイト終わり、私はヤングスパークを1冊購入した。
出来ればこの街のヤングスパークを全て買い、全て燃やしたかった。
私の家は田村書店から自転車で10分くらいの所にある。20時を過ぎれば商店街は完全に沈黙するくらい田舎だから22時過ぎの街は、ただの闇に近い。
家に帰ると父は既に寝ているようでリビングには母と妹が一緒にドラマを見ている。
「ただいま。」
「あ、結宇お帰りなさい。」
「お帰り。お姉ちゃん。ごはんは?」
「うーん。いらない。」
それだけ話して部屋へ走った。
正直、高校を卒業して以来1年、家族とは表面での付き合いしかしていない、家族だけじゃないけど。だから仕事以外はほとんど部屋にいる気がする。
私は部屋中をひっくり返して名雪の写真を探す。
「プリクラ…も、ない。」
小学校の卒業アルバムは名雪の顔写真は削ってしまっていた。
「全部あの日に捨てたみたいね。」
散らかった部屋の中、ヤングスパークに手を伸ばす。
何も写っていないようで、世界の果てや、相手の心の小さな小さな傷さえ見えていそうな大きな目。
「なんで、今更こんな形で会わなきゃいけないの…」
出来ればこの街のヤングスパークを全て買い、全て燃やしたかった。
私の家は田村書店から自転車で10分くらいの所にある。20時を過ぎれば商店街は完全に沈黙するくらい田舎だから22時過ぎの街は、ただの闇に近い。
家に帰ると父は既に寝ているようでリビングには母と妹が一緒にドラマを見ている。
「ただいま。」
「あ、結宇お帰りなさい。」
「お帰り。お姉ちゃん。ごはんは?」
「うーん。いらない。」
それだけ話して部屋へ走った。
正直、高校を卒業して以来1年、家族とは表面での付き合いしかしていない、家族だけじゃないけど。だから仕事以外はほとんど部屋にいる気がする。
私は部屋中をひっくり返して名雪の写真を探す。
「プリクラ…も、ない。」
小学校の卒業アルバムは名雪の顔写真は削ってしまっていた。
「全部あの日に捨てたみたいね。」
散らかった部屋の中、ヤングスパークに手を伸ばす。
何も写っていないようで、世界の果てや、相手の心の小さな小さな傷さえ見えていそうな大きな目。
「なんで、今更こんな形で会わなきゃいけないの…」
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