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重ねた嘘

[153]  ふく  2008-04-23投稿
そう言うと思った
今日は聞き慣れた足音が聞こえて来るだけで怖かった
覚悟はしていた
回数が減ったメールと電話
数少ない会話
少なくなった笑顔
喧嘩をする事さえもなくなった
何かを言えば面倒臭そうに謝る冷たい態度
気付かない程馬鹿ではない
傷付くはずはない
予想していたのだから
なのに言葉が出ない
頭の中が真っ白になって気分が悪い
笑える余裕もない

あなたが最後の言葉に敬語を使う
思い返せば出会って初めて言葉を交わした時も敬語だった
よそよそしさの中に照れがあった
どうにか近付こうと必死だった
初々しくてそれが愛おしかった
今は違う
突き放された様な虚しさ
距離を広げる言葉
引き止める隙を与えない空気
まるで他人の様な態度
『ありがとう』も『ごめんね』も『さよなら』さえも言えない

何の躊躇もなく背中を向けて去って行くあなたを見て悲しくなかったわけではない
ただ追い掛けるための一歩が踏み出せない
もう冷めた関係に苦しむ事もない
気付いてない振りをして嘘を重ねる事もない
そう思えば現実を飲み込めた

今日此処から新しい毎日が始まる
あなたがいない毎日
多分辛い
やっぱり寂しいと思う
あなたという存在を避けながら生きて行かなければならない
だけど避けては通れない苦しい思い
解放と言うよりも未練に締め付けられる

追い掛けなかった事をきっと後悔する
どうせ終わるなら残された私の想いをぶつければ良かった
でも出来ない
少しの余裕を見せたかった
本当は深く傷付いたけど私は大丈夫なんだと
あなたなんかいらないと
寂しくなんかないと
そんな風にしてプライドを守りたかった
そうやって最後まで自分にあなたに嘘を重ねた

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