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奈央と出会えたから。<136>

[615]  麻呂  2008-04-23投稿
『ハハハハハハ。』


あたしが浴室からリビングを通り、聖人の部屋へ行きかけた時、



聖人の部屋から突然、笑い声が聞こえてきた。



聖人は、あたしに気を遣ってか、



ずっと部屋のドアを開けっ放しにしてくれていたから、



笑い声は、部屋中に響き渡った―\r



『聖人。どうしたの?!』



あたしは聖人から借りたスウェット姿だ。



『ハハハ‥。うん、昔のアルバム見てたらよ、なまらウケる写真がいっぱい出てきてさ。』



聖人ってば、目に涙まで浮かべて笑ってる。



さっきは感傷にひたってホロッときてたのに。



立ち直りが早いんだね。



聖人は隠してたつもりみたいだけど、



あたしは知ってるもん。





『面白い写真が見つかったの?』



古いアルバムを一ページずつ捲ってゆく聖人の横に、



思わずあたしも並んで座ったー





『ほら。これは俺の小学校の入学式の写真。』



『へぇ‥。かわい〜っっ。女の子みたいに色白で。あはは。何か、今の聖人からは、想像出来ないね。』



『おい。それ、どういう意味だよ!!

俺は生まれつき心臓に孔があいているのと、喘息持ちで、ずっと休みがちの病弱少年だったんだよな。

顔なんていつも青白くてよ。かなり、おとなしい少年だったな。』





おとなしい少年ー



アルバムの中にはー


今の聖人からは全く想像が出来ないー



幼き日々の、聖人がいたー





『赤ちゃんの時の写真は、神戸で撮ったものが多いね。』



『おう。さっき話した車の事故で、母さんが死んでから、直ぐに小樽に来たからな。』





聖人と聖人のお父さんはー



お母さんを車の事故で亡くしてから直ぐにー



小樽に移り住んだのだと言うー



それはー



聖人のお父さんが、聖人のお母さんとの思い出がいっぱい詰まった街‥“神戸”から離れる事でー



少しでも早く、辛いあの日のあの事故の事を、



忘れたかったからなんだってー

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