甘いワナ??
入ってきたのは、黒いパンツに黒いジャケットの男性。
黒を基調とした服装で、軽く崩して着てはいてもだらしない感じではなく、ラフに着こなしている感じだった。
マスターは片眉を上げてそのお客を一瞥(いちべつ)したが、すぐにグラス磨きに戻った。
「お待たせ。」
彼、谷澤くんは私の向かいの席に座って言った。
テーブルに肩肘をつきながら、ニヤニヤと私を見つめる。
そんな彼の態度に少しむっとした。
「どうかしましたか。」
自分でも驚くくらい言葉が冷たく発せられたのがわかった。
「 うん?ホントに来て くれるなんて…ね。」
怯(ひる)まず笑いながら言う彼。
顔が赤くなるのを感じた。
『 冗談であんなこと言 ったの?
なのに、私はバカみ たいに信じて…』
彼に踊らされた自分が恥ずかしかった。
――でも
恥ずかしさを感じる反面、沸々(ふつふつ)と怒りがこみ上げてきた。
『 あんなに悩んだのに からかっただけ?
バカにして…!』
私は伝票を手に取ると、すぐに席を立った。
けれど…
次の瞬間、私は左手を引かれて、元の席に戻っていた。
彼は左手を掴んだまま笑って言った。
「 冗談だって。本気に した?
怒った顔も可愛いね 。」
彼の言葉に一瞬言葉を失った。
――可愛いい?
――私が?
私は彼の顔をまじまじと 見た。
「信じられない?」
信じられない。
口には出さなかったけれど、顔に出ていたらしい。
彼は苦笑しながら立ち上がった。
「じゃあ、行こうか。」
そう言いながら、私の手から伝票を抜き取って、レジに向かう。
彼に紅茶代を支払ってもらうのは気が進まなかった。
だから、彼から伝票を奪い返そうとした。
けれど、その手はあっさりと空を掴み、
逆に手を握られてしまった。
弘人くんとは違う男性の手を感じて、思わずドキッとした。
黒を基調とした服装で、軽く崩して着てはいてもだらしない感じではなく、ラフに着こなしている感じだった。
マスターは片眉を上げてそのお客を一瞥(いちべつ)したが、すぐにグラス磨きに戻った。
「お待たせ。」
彼、谷澤くんは私の向かいの席に座って言った。
テーブルに肩肘をつきながら、ニヤニヤと私を見つめる。
そんな彼の態度に少しむっとした。
「どうかしましたか。」
自分でも驚くくらい言葉が冷たく発せられたのがわかった。
「 うん?ホントに来て くれるなんて…ね。」
怯(ひる)まず笑いながら言う彼。
顔が赤くなるのを感じた。
『 冗談であんなこと言 ったの?
なのに、私はバカみ たいに信じて…』
彼に踊らされた自分が恥ずかしかった。
――でも
恥ずかしさを感じる反面、沸々(ふつふつ)と怒りがこみ上げてきた。
『 あんなに悩んだのに からかっただけ?
バカにして…!』
私は伝票を手に取ると、すぐに席を立った。
けれど…
次の瞬間、私は左手を引かれて、元の席に戻っていた。
彼は左手を掴んだまま笑って言った。
「 冗談だって。本気に した?
怒った顔も可愛いね 。」
彼の言葉に一瞬言葉を失った。
――可愛いい?
――私が?
私は彼の顔をまじまじと 見た。
「信じられない?」
信じられない。
口には出さなかったけれど、顔に出ていたらしい。
彼は苦笑しながら立ち上がった。
「じゃあ、行こうか。」
そう言いながら、私の手から伝票を抜き取って、レジに向かう。
彼に紅茶代を支払ってもらうのは気が進まなかった。
だから、彼から伝票を奪い返そうとした。
けれど、その手はあっさりと空を掴み、
逆に手を握られてしまった。
弘人くんとは違う男性の手を感じて、思わずドキッとした。
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