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雨の日の洗車<終>

[691]  うー  2008-04-24投稿
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数年が経ち、少年は二十歳になっていた。
僕も成長を遂げ、なんとか職に就いていた。
隣の少年の家にはもう一台車が増えていた。たぶん、少年のものなのだろう。
その日はあの日と同じ雨天だった。僕が出掛けようとすると同時に、少年も車に乗り込もうとしていた。
少年は、これからなにかと闘うような強い目でハンドルを握ろうとしていた。
偶然にも、僕が向かう方向と少年が向かう方向は一緒だった。少年の後ろを走る形で、僕は運転していった。
ウインカーを出す少年の車の先には一軒のガソリンスタンドが佇んでいた。愛想の悪い店の態度でよく知られているところだ。
少年の車はそのままガソリンスタンドの洗車場へ入っていった。雨は降り続いている。
僕は少年の車を追い越すとき、なにとはなしに運転席を窺った。
少年の顔には笑みが浮かんでいた。何かを企むような、そう、あの時と同じほくそ笑みに類似した表情だった。

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