奇妙な時空−第4話
幼い頃、私は押し入れが好きだったらしい。
よく押し入れに『秘密基地』を造って隠れ、遊んでいたという。
でも、今はそんなことはしていない。まぁ、大人だから。
建前はそういうことだ。
実は幼い頃押し入れの基地には、『オシイレ』さんがいた。
何それ?って?私にもわからない。家の誰かではない、ただ『オシイレ』さんとしか覚えていないんだから。
『オシイレ』さんは遊んでいるのを見ているだけだった。ただジッと見ているだけの存在。狭い押し入れに窮屈そうに屈み込む存在。
気にはなるけど一度も『オシイレ』さんには話しかけた事もなかった。
ある日、友達に話しのついでに『オシイレ』さんの話をしたら、
「嘘だぁ、そんなの作り話でしょぉ。」
という。
「嘘じゃないよ、見に来たらいいでしょ。」
私が言うと友達は半信半疑で家についてきた。二人で狭い押し入れを覗きこむ。
「いないよ?」
「いるよ!目の前に!」
友達に嘘つき呼ばわりされたくなくて、私は私しか見えないらしい『オシイレ』さんを見上げた。
「『オシイレ』さん!何とか言ってよ!!!」
不意に私の身体は後ろにドーンッと突き飛ばされ床に転がった。驚いて屈み込む友人の背後に、恐ろしい眼で私を睨み見下ろす『オシイレ』さんがいた。
それから私は押し入れの秘密基地はやめた。『オシイレ』さんも見えなくなった。
でも、一つ新しい約束ができた。押し入れを閉めると(カリカリ)という音がする。
まるで出てきたいと言うかのような襖を引っ掻く音だ。だから、逆に引っ掻けないように、私の部屋の押し入れは何時も開けたままにしている。
よく押し入れに『秘密基地』を造って隠れ、遊んでいたという。
でも、今はそんなことはしていない。まぁ、大人だから。
建前はそういうことだ。
実は幼い頃押し入れの基地には、『オシイレ』さんがいた。
何それ?って?私にもわからない。家の誰かではない、ただ『オシイレ』さんとしか覚えていないんだから。
『オシイレ』さんは遊んでいるのを見ているだけだった。ただジッと見ているだけの存在。狭い押し入れに窮屈そうに屈み込む存在。
気にはなるけど一度も『オシイレ』さんには話しかけた事もなかった。
ある日、友達に話しのついでに『オシイレ』さんの話をしたら、
「嘘だぁ、そんなの作り話でしょぉ。」
という。
「嘘じゃないよ、見に来たらいいでしょ。」
私が言うと友達は半信半疑で家についてきた。二人で狭い押し入れを覗きこむ。
「いないよ?」
「いるよ!目の前に!」
友達に嘘つき呼ばわりされたくなくて、私は私しか見えないらしい『オシイレ』さんを見上げた。
「『オシイレ』さん!何とか言ってよ!!!」
不意に私の身体は後ろにドーンッと突き飛ばされ床に転がった。驚いて屈み込む友人の背後に、恐ろしい眼で私を睨み見下ろす『オシイレ』さんがいた。
それから私は押し入れの秘密基地はやめた。『オシイレ』さんも見えなくなった。
でも、一つ新しい約束ができた。押し入れを閉めると(カリカリ)という音がする。
まるで出てきたいと言うかのような襖を引っ掻く音だ。だから、逆に引っ掻けないように、私の部屋の押し入れは何時も開けたままにしている。
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