星の蒼さは 52
「行ったか」
遥か彼方に飛び去っていくあおかぜを見ながら土田は呟いた。
もう止められない。
使命を終えた老骨は果てるのみ。
「だろう?“光司”」
ドアの前に、男は始めからそこにいた。
毎晩枕元に現れ、自分を非難し、批判し、否定する。あの男が。
『ええ、そうです』
紅い口腔が蠢き、男は笑った。
『飛び立ったんです。もう止められない。貴方にも、僕にも』
「・・・」
『世界は黄泉がえる。灰の山から黄泉がえる不死鳥の如く。更なる輝きをもって次の命を紡ぐんです』
「なぜ歪んでしまったんだ。お前は真っ直ぐだった。破滅的に・・・」
『僕は妄想に過ぎない。僕は貴方であり、貴方は僕なんです』
私を怨んでいたのか?母さんが死んだあの夜に、お前は怨みを綱に、茶室の真ん中に浮かんでいたのか?
『お慕い申し上げておりました』
“光司”の右手には銃が握られていた。
許してくれ。愚かな父を。だが、愛していた。
だから最期に呼んでくれ。
『さようなら。父さん』
一瞬の光。それは光司と共に、自分の意識を奪い去っていった。
「ええ、殺しましたわ。騒ぎなったら攻撃を」
遥か彼方に飛び去っていくあおかぜを見ながら土田は呟いた。
もう止められない。
使命を終えた老骨は果てるのみ。
「だろう?“光司”」
ドアの前に、男は始めからそこにいた。
毎晩枕元に現れ、自分を非難し、批判し、否定する。あの男が。
『ええ、そうです』
紅い口腔が蠢き、男は笑った。
『飛び立ったんです。もう止められない。貴方にも、僕にも』
「・・・」
『世界は黄泉がえる。灰の山から黄泉がえる不死鳥の如く。更なる輝きをもって次の命を紡ぐんです』
「なぜ歪んでしまったんだ。お前は真っ直ぐだった。破滅的に・・・」
『僕は妄想に過ぎない。僕は貴方であり、貴方は僕なんです』
私を怨んでいたのか?母さんが死んだあの夜に、お前は怨みを綱に、茶室の真ん中に浮かんでいたのか?
『お慕い申し上げておりました』
“光司”の右手には銃が握られていた。
許してくれ。愚かな父を。だが、愛していた。
だから最期に呼んでくれ。
『さようなら。父さん』
一瞬の光。それは光司と共に、自分の意識を奪い去っていった。
「ええ、殺しましたわ。騒ぎなったら攻撃を」
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