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遺書−私と彼女という現象−

[319]  あきは  2008-04-27投稿
−第七話−
 独りで全てを背負った『A』は、どんどん疲弊し窶れていった。でも、男は働こうとはしなかった。

『A』は最初、不眠症になったという。酷いときは3日も眠れずに仕事にいった。
苦悩は剃刀のように『A』の心を傷つけ、『A』はふさぎ込むことが多くなった。


そんな日々を半年も堪えていた『A』に2つの事件が起きた。1つは仕事中の怪我、入浴介助中の他の職員の間違いで腰を痛めた事による休職。
そして、2つ目は仕事をしないまま、毎日遊び暮らすの男の浮気の発覚だった。

(何故?私が全て悪いの…?全て………?)

『A』は、苦悩の中であがき溺れていった。そして彼女は、初めて感じたのだ。

(………死にたい。)

そう感じた時、その感情が『A』の全てを支配した。腰痛は治癒したはずなのにしつこく付き纏い、心をえぐった男の浮気も止まらない。
『A』には死が甘美なものに感じてならなかった。だが、『A』はその感情が間違いだという理性も残っていた。だから彼女は心療内科にかかったのだ。

最近は心療内科にかかる人を<メンヘラー>というらしいが。

『A』は<鬱病>と診断された。しかし、更に問題があったのだ。それはかかった病院が、良い病院ではなかったということだ。
山のような薬に翻弄されて、『A』の中で死は更に魅力的なものになっていった。

実は鬱病患者に自殺企図がある場合は、服用に注意を要する薬剤が幾つかあるのだ。しかし、『A』には、その系統の薬が通常の倍近く処方されていた。

そして、鬱病の診断がおりた2ヶ月後、それは起こったのだった。

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