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Forgot-4

[401]  黒和  2008-04-29投稿
彼は、幼い頃の自分に戻り、母方の祖母の家にいるのを感じた。

古い家で、コタツに座っている兄はまだ5歳ほどに見える。
ブラウン管のテレビには昔よくみたアニメが映っている。

ああ、これは夢だ。懐かしいな。
と、彼は思った。

しかし、なぜ夢だと分かったのだろう?


普段ならば、夢とは無意識のうちに作られ、そこに疑問など生まれない。
どんなに理不尽であっても、
どんなに不可能なことであっても、普通なら「夢」とは気付かないものだ。

そのはずなのだ。

名前を呼ばれた気がして振り返った。彼は声のした方を見ると

そこには彼の母親が立っていた。
記憶が蘇ったのだろうか?すぐに彼は母親の顔を思い出した。
優しい笑顔で、彼と、彼の兄に話しかけてきた。
彼にとって、写真を除けば9年振りに見る笑顔だった。

何か、他愛のないことを話した気がする、と後に彼は振り返る。
この時の彼の喜びは言葉に出来ない。
母親が亡くなって以来、彼の母が夢に出てきたことは一度もない。

とにかく、彼は嬉しくて仕方なかった。

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