奈央と出会えたから。<137>
『でも、どうして移り住んだ街が、小樽なのか‥‥。そこは、俺にもよく分からないんだ。
多分、親父は母さんが亡くなった日の事を、早く忘れたかったのだろうけど、
全てを忘れてしまうのが怖かったんだろ。
だから、神戸の街に、どこか雰囲気が似ている‥‥小樽の街を選んだのだと―\r
俺は、そう思ってる‥‥‥。』
『聖人は神戸で生まれたけど、赤ちゃんの時に直ぐ、小樽に来たから、神戸での記憶は、全く無いんだよね?』
『ああ。そうだよ。だから、俺が知ってる神戸は――
こうやって、古いアルバムを捲ってる時と、親父の晩酌時の話相手になってやってる時に、頭の中で思い描く、“想像の中の街”でしかないんだ。』
聖人は、あたしの頭をポンッと優しく叩いて、ニッコリ微笑み―\r
古いアルバムを閉じた―\r
『今日は、朝から学校サボったから、まだ昼前じゃん。
おっ、そういや奈央。お前、学校初サボリだな。』
『う、うん。』
そうだった―\r
あたしは、今日―\r
生まれて初めて学校をサボったんだった。
『腹減ってねぇか?!俺、何か作ってやるよ。』
『えっ?!聖人。いいよ。あたし、別にお腹減ってないし‥‥‥って言うか、あたしが何か作ろうか?!』
料理は得意ではないけれど―\r
いつも、お母さんと一週間交代で夕飯の支度をしているから、
簡単な物なら作ってあげられると思ったんだ。
『ば〜か。奈央。俺に変な物でも食わされるとでも思ってんだろ?!家は俺と親父しかいねぇからさ、俺か親父が作るしかないじゃん?!
親父は、溶接の仕事してんだけど、帰りもなかなか遅いしさ、
だから、いつも簡単な物を適当に作って食ってんだ。』
『凄いね聖人。自分で作ったりするんだ‥‥‥。』
あたしは正直驚いた。
聖人って案外、器用なんだ。
『待ってろ。今、俺特製チャーハン作ってやるよ。』
聖人は、そう言うと―\r
手早く玉葱の皮を剥き―\r
それを、物凄い早さでみじん切りにした―
多分、親父は母さんが亡くなった日の事を、早く忘れたかったのだろうけど、
全てを忘れてしまうのが怖かったんだろ。
だから、神戸の街に、どこか雰囲気が似ている‥‥小樽の街を選んだのだと―\r
俺は、そう思ってる‥‥‥。』
『聖人は神戸で生まれたけど、赤ちゃんの時に直ぐ、小樽に来たから、神戸での記憶は、全く無いんだよね?』
『ああ。そうだよ。だから、俺が知ってる神戸は――
こうやって、古いアルバムを捲ってる時と、親父の晩酌時の話相手になってやってる時に、頭の中で思い描く、“想像の中の街”でしかないんだ。』
聖人は、あたしの頭をポンッと優しく叩いて、ニッコリ微笑み―\r
古いアルバムを閉じた―\r
『今日は、朝から学校サボったから、まだ昼前じゃん。
おっ、そういや奈央。お前、学校初サボリだな。』
『う、うん。』
そうだった―\r
あたしは、今日―\r
生まれて初めて学校をサボったんだった。
『腹減ってねぇか?!俺、何か作ってやるよ。』
『えっ?!聖人。いいよ。あたし、別にお腹減ってないし‥‥‥って言うか、あたしが何か作ろうか?!』
料理は得意ではないけれど―\r
いつも、お母さんと一週間交代で夕飯の支度をしているから、
簡単な物なら作ってあげられると思ったんだ。
『ば〜か。奈央。俺に変な物でも食わされるとでも思ってんだろ?!家は俺と親父しかいねぇからさ、俺か親父が作るしかないじゃん?!
親父は、溶接の仕事してんだけど、帰りもなかなか遅いしさ、
だから、いつも簡単な物を適当に作って食ってんだ。』
『凄いね聖人。自分で作ったりするんだ‥‥‥。』
あたしは正直驚いた。
聖人って案外、器用なんだ。
『待ってろ。今、俺特製チャーハン作ってやるよ。』
聖人は、そう言うと―\r
手早く玉葱の皮を剥き―\r
それを、物凄い早さでみじん切りにした―
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