昔の思い出
私の出身地はと訊かれたら二十歳まで学校に通い、暮らしていた神奈川県となるのだと思うのだが、自分のルーツのある土地という意味では、私に出身地はないかもしれない。
両親はそれぞれ違う土地から仕事を求めて東京のベッドタウンである神奈川に移り住んできた人である。
ただ、私達家族には年に数回長期の休暇を取っては父の故郷に帰省する決まりの様なものがあった。
安月給の父と専業主婦の母では、当時仙台まで開通したばかりの東北新幹線に家族で乗るお金は無く、鈍行や急行を乗り継ぎ、１日がかりで父の故郷へ帰っていた。
朝家を出て茨城県の海沿いを在来線で北上し、仙台で乗り換えて海へと向かった。松島を通り越し、終点石巻に着く頃には日は落ちかけていた。
当時木造だった高い天井の駅舎でつまらなくて兄と踊ったりしてアホみたいに暇を潰していると、恐ろしく本数の少ない貴重な列車がやって来たのだった。
両親はそれぞれ違う土地から仕事を求めて東京のベッドタウンである神奈川に移り住んできた人である。
ただ、私達家族には年に数回長期の休暇を取っては父の故郷に帰省する決まりの様なものがあった。
安月給の父と専業主婦の母では、当時仙台まで開通したばかりの東北新幹線に家族で乗るお金は無く、鈍行や急行を乗り継ぎ、１日がかりで父の故郷へ帰っていた。
朝家を出て茨城県の海沿いを在来線で北上し、仙台で乗り換えて海へと向かった。松島を通り越し、終点石巻に着く頃には日は落ちかけていた。
当時木造だった高い天井の駅舎でつまらなくて兄と踊ったりしてアホみたいに暇を潰していると、恐ろしく本数の少ない貴重な列車がやって来たのだった。
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