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昔の思い出5

[346]  もね  2008-05-02投稿
父は若い頃奨学金で大学を出た。
東京で仕事をし、美しい妻と可愛い息子と娘を持ち、故郷に帰る事はきっと誇らしかったに違いない。
しかしそこにはいつも非常に熱い家族達が待っているのだった。
思い返せば父の家は皆血の気が多く、祖父と祖母の夫婦喧嘩に始まり、5人兄弟姉妹だったが、父と叔父の掴み合いなどが起こる事も度々であった。
その度穏やかな性格の叔母達が突き飛ばされたりしながら止めに入っていた。
「兄さんやめらい!」
「父さんやめらい!」
半ば泣き声の叔母達の叫びと張り詰めた空気は私の子供心に底知れぬ恐怖感を与えた。
そんな時母は渦中の父を置き去りに私達兄妹を風呂に入れ、そっと寝かしつけた。
しかし今考えれば近頃の家庭では考えられない程家族同士の切れない絆や情も強かったのではないだろうか。

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