奈央と出会えたから。<141>
『聖人。あたし、今日はもう帰るね。』
テーブルの上のボックスティッシュに手を伸ばし、
あたしは、涙を拭いた―\r
『何?!だから何で泣いてんの?!』
聖人がさっきよりも少し強い口調で言った―\r
『泣いてないよ!!あたしコンタクト。しかもハードだし、おまけにドライアイ。あっ!!アレルギーもあるかな。』
とっさに思い付いた言葉が、すらすらと口から躍り出た―\r
ちょっと不自然過ぎたかな―\r
今の言い訳―\r
『そういや、奈央。目悪いもんな。
勉強のし過ぎじゃね?!俺見てみ。
勉強しねぇから、視力なまらいいぜ。
両目共に2.0。』
切れ長の奥二重の目をまん丸くさせて、聖人が言った―\r
『あはは。』
『笑うな!!
何がおかしい!!』
『だって、何の根拠もなく“勉強のし過ぎ”とか言うんだもん。』
『俺よか、はるかに成績いいじゃん。』
『そんな事ないよ。聖人が言う程、あたし成績良くないよ。
S校行けるかどうかも危ういもん。』
そんなに深く考えずに、
聖人との会話のキャッチボールをただ、
楽しんでいただけだったのに―\r
『じゃあ俺と一緒にH校行こうぜ。』
一緒に―――\r
『うん。』
この時のあたしは―\r
聖人に“一緒にH校へ行こう”と言われて―\r
ただそれだけの事に―\r
凄く嬉しさが込み上げて来た―\r
この時のあたし達二人は、
お互いの成績からH校に行けるレベルかどうかなんて事を、
全然、考えた事さえ無かったし―\r
ただ“二人で一緒の学校へ行きたいね”って、
そんな会話が出来た今日という日が、
あたしにとっては、とても幸せな一日となった事だけを、
今でも覚えているんだ‥‥‥。
テーブルの上のボックスティッシュに手を伸ばし、
あたしは、涙を拭いた―\r
『何?!だから何で泣いてんの?!』
聖人がさっきよりも少し強い口調で言った―\r
『泣いてないよ!!あたしコンタクト。しかもハードだし、おまけにドライアイ。あっ!!アレルギーもあるかな。』
とっさに思い付いた言葉が、すらすらと口から躍り出た―\r
ちょっと不自然過ぎたかな―\r
今の言い訳―\r
『そういや、奈央。目悪いもんな。
勉強のし過ぎじゃね?!俺見てみ。
勉強しねぇから、視力なまらいいぜ。
両目共に2.0。』
切れ長の奥二重の目をまん丸くさせて、聖人が言った―\r
『あはは。』
『笑うな!!
何がおかしい!!』
『だって、何の根拠もなく“勉強のし過ぎ”とか言うんだもん。』
『俺よか、はるかに成績いいじゃん。』
『そんな事ないよ。聖人が言う程、あたし成績良くないよ。
S校行けるかどうかも危ういもん。』
そんなに深く考えずに、
聖人との会話のキャッチボールをただ、
楽しんでいただけだったのに―\r
『じゃあ俺と一緒にH校行こうぜ。』
一緒に―――\r
『うん。』
この時のあたしは―\r
聖人に“一緒にH校へ行こう”と言われて―\r
ただそれだけの事に―\r
凄く嬉しさが込み上げて来た―\r
この時のあたし達二人は、
お互いの成績からH校に行けるレベルかどうかなんて事を、
全然、考えた事さえ無かったし―\r
ただ“二人で一緒の学校へ行きたいね”って、
そんな会話が出来た今日という日が、
あたしにとっては、とても幸せな一日となった事だけを、
今でも覚えているんだ‥‥‥。
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