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幼い記憶。?

[362]  やえ  2008-05-05投稿
見捨てた友の目に闇が宿っていた。

ただ、ただ恐ろしくて。

俺は目を反らして顔を背けた。


「なんで」


聞こえない。俺にはナニも聞こえない。


俺には、関係ない――。


「信じてたのに……!」


少女は。

暗い目つきで俺を睨んだ。


「…………なんでっ!!」


獣のような咆哮が耳を貫く。

獣のような少女が俺の目の前でうずくまり。

獣のように凄まじい顔で、空を見上げて。


吠える。


「ああぁあぁあああァっ!!!」


俺の頭も、腕も、足も。

少女の叫び声でいっぱいになって。

ただ、つらくて、悲しくて。

だけど俺は、自分を守るのをやめるつもりはなかった――。


「あァああぁあぁぁあぁッ!!!」


やめろ。

吠えるんなら俺のいないところでしてくれ。


俺を、壊すな……!


「――――」



やがて、時はすべてを連れたまま流れていった。

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