携帯小説!(PC版)

記憶

[302]  ふく  2008-05-07投稿
初めて彼の元へ会いに来た
だけどこの場所へ来るのは初めてではない

半年前憧れていたあの人と歩いた場所
ずっと憧れだった
住み慣れた街を離れ少し心細くも感じたけどあの人と短い時間を共に出来るならそれだけで幸せだった
高嶺の花のようなあの人と並んで歩ける
長い間夢見た瞬間
嬉しかった
胸が張り裂けそうだった

忘れかけた憧れが甦る
長い片思いがまた溢れ出す
今同じ物を見て思い出す
隣にいる彼の体を借りてあの人を思い出す
あの日の幸せを思い出す
胸が痛い
何だか涙が出そうになって唇を噛み締める

話かけてきた彼の声で不意に現実へ引き戻される
情けない顔で見上げる私を不思議そうに彼が見つめる
私は最低だ
だけどどうしようもない
私の前に広がる光景が
この景色一つ一つが私の目に悲しく映る
忘れていない
忘れないと

だけど今はどうしようも出来ない

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